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「あなたが許容しないなら周囲もあなたを許容しない」と裁判官 大阪コリア国際学園放火裁判は執行猶予付き

 粟野仁雄・ジャーナリスト|2022年12月20日7:00AM


 大阪府のインターナショナルスクール「コリア国際学園」への放火や、立憲民主党の辻元清美参議院議員の事務所への侵入などで建造物侵入、建造物損壊等の罪に問われた無職・太刀川誠被告人(30歳・同府箕面市)に対し大阪地裁(梶川匡志裁判官)は懲役3年、執行猶予5年の判決を12月8日に言い渡した。

「執行猶予は遺憾」と、判決後の会見で語る「コリア国際学園」の金淳次理事長(右から2人目)。(撮影/粟野仁雄)

 同被告人は4月5日、茨木市のコリア国際学園に侵入して段ボールに火をつけ、床を焼損させた。その前の3月1日には高槻市にある辻元氏の事務所に侵入し、窃盗未遂罪などで起訴されていた。放火事件後の5月4日にも、大阪市淀川区の創価学会施設にコンクリートブロックを投げてガラスを割った。判決はこれらの犯行を認定したうえで、下見してサングラスで顔を隠すなどの計画性や、2カ月間での立て続けの犯行、火力を用いた危険性などを指摘。「被害者やその関係者が強い不安感を抱くことは想像に難くな」いとした。

 動機については「SNSの書込みを閲覧などするうちに、特定の政党や宗教団体が支持している政党が我が国に対して害悪をもたらす、あるいは特定の国がミサイルを発射し又は農作物を詐取したことなどから、日本に居住する同国籍の者を放置すると国民が危険にさらされる」と考え、嫌がらせの目的で犯行に及んだとした。そのうえで、自らと異なる政治的な意見を有する相手に嫌がらせをしたり、暴力で対抗したりすることは許されないと指弾。「仮に特定の国の者が何らかの不正をしたとしても、同じ国籍といって無関係の者がその責めを負ういわれはない。そもそも、これらの者が我が国に害悪をもたらすなどという被告人の考え自体、根拠のない情報に基づくもの」と断じた。他方で前科のないことや、反省の弁も述べていることなどから執行猶予とした。

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