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「被差別部落さらすな」署名運動中に事態急変
平野次郎・フリーライター|2022年12月22日7:00AM
グーグル社が運営する動画サイトのユーチューブに投稿されていた被差別部落(以下、部落)の地区内を撮影した「部落探訪」の動画約200本が11月30日に削除された。
部落出身者や支援者で作る市民団体「ABDARC(アブダーク)」が、部落差別を助長するとして「部落探訪」の削除を求めるオンライン署名を展開する中での突然の削除だった。
「部落探訪」は全国の部落を巡って街路や建物、寺社、墓などを撮影して地区名とともに紹介。神奈川県川崎市の出版社「示現舎」(宮部龍彦代表)のサイトで2015年12月に始まり、18年11月からユーチューブに掲載している(本誌21年3月12日号参照)。
部落解放同盟や自治体、法務局などは「部落探訪」が始まった当初からグーグル社に繰り返し削除を要請してきたが、同社は4年にわたって無視してきた。ABDARCは「動画でさらされた地域に住む人たちは不安や恐怖を覚え、平穏に安心して生きる権利が脅かされている」と訴え、11月中旬からオンライン署名を募っている。
グーグル社はなぜ今になって削除に応じたのか。筆者は同社広報部に取材を申し込んだが拒否された。新聞報道によると、同社は削除の理由について「ヘイトスピーチに関するポリシー(指針)に違反した」としている。
法務省人権擁護局に取材すると、同省として削除要請したかどうかなど個別の事案については答えられないとしたうえで、
「18年12月の地方法務局長依命通知で、特定の地域が同和地区であると指摘する情報は削除要請の対象になると明記し、22年5月の『インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会』の取りまとめで、同様の情報は各プロバイダが約款などに基づいて自主的に削除することを促すなど、適切に対応している」と、背景について説明した。
(『週刊金曜日』2022年12月16日号)