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民意の可視化を 原発推進政策へのパブコメ
FoE Japan 満田事務局長に聞く
編集部|2023年1月4日3:31PM
政府は方針を事実上決めてから、アリバイづくりのように現在、原発回帰に関連する四つのパブリックコメント(パブコメ)を募集している。これに対して私たちはどう声を上げるべきだろうか。1月上旬に「パブコメセミナー #原発推進GXをパブコメで止めよう」という連続オンラインセミナーを開催するFoE Japanの満田夏花・事務局長に聞いた。
――何がパブコメにかかっているのでしょうか。
四つあります。第1は、昨年12月22日にGX実行会議で了承された「GX実現に向けた基本方針」。第2は、原子力閣僚会議が決定した「今後の原子力政策の方向性と行動指針」。第3が原子力規制委員会による原発運転延長を前提とした「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要」。そして第4が、原子力委員会による「原子力利用に関する基本的考え方」。
1か月間パブコメにかけたあと、閣議決定ののち、原子炉等規制法、電気事業法など関連する法律の改正が「束ね法案」として次の通常国会にかかるものと思われます。
――事実上決まっているなかで、私たちがパブコメを提出する意味は?
このような重要な政策は、本来であれば、各地で公聴会を行なう、公開の討論会を行なうなど徹底的な国民的議論を経た上で決定するべきです。
大筋決定してから形だけパブコメにかけるというのは民意無視にほかならず、そのこと自体批判されるべきでしょう。
一方で、パブコメは政府による公的な意見聴取の手続きです。私たちが岸田政権に対して民意を示すチャンスでもあります。
パブコメで多くの意見が出されればそれがメディアで報道され、一連の強引な政策転換に対して反対の世論がもりあがるきっかけになるかもしれません。
――とはいえ、四つもの文書にパブコメを出すのは大変ですね。
四つの文書は、共通する部分も多いです。第1、第2の文書は、原発の再稼働のための立地自治体支援、原発運転期間を実質延長、次世代革新炉による建て替え、核燃料サイクルの推進、国際的な原発のサプライチェーンの確立などの内容を含んでいます。そういった分野に国が前面に立ち、税金や人など公的リソース(資源)を投入していくというのです。
第3は、原発運転期間の延長を前提とした上で運転期間30年を超える原発の規制に関する文書です。第4は、もう少し漠然とした文書ですが、一言でいえばエネルギー安全保障などの理由で原発推進を正当化する内容です。
たとえば、「原発推進をすべきではない。なぜなら…」というたぐいのコメントであれば、上記の1、2、4の文書に対して提出することができますし、3にだって出してもよいでしょう。「原発の運転期間を原則40年としている現行の原子炉等規制法の規定を緩めるべきではない」というコメントでしたら、すべてに対して提出することができるでしょう。
――優先度が高いのは、どれですか?
第1の「GX実現に向けた基本方針」でしょう。岸田首相の肝いりで策定され、メディアの注目度も高いためです。新たに「GX 経済移行債」(仮称)を創設し、20 兆円規模の先行投資支援を行なうことにより、原発にも投資を誘導することが書き込まれており、影響も大きそうです。