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原発回帰へのお墨付きか 老朽原発の稼働延長に大阪地裁がGOサイン
粟野仁雄・ジャーナリスト|2023年1月14日6:56AM
福井県美浜町の関西電力(関電)美浜原発3号機から半径80キロメートル圏内(福井県、京都府、滋賀県)の住民らが「老朽化して危険」として関電に同機の運転差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、大阪地裁の井上直哉裁判長は昨年12月20日、「安全性に問題はない」と却下した。
1976年に運転開始した同機は国内で稼働中の原発で唯一、運転期間が40年を超えている。福島第一原発事故(2011年)翌年の法改正で原発の運転期間は開始から40年とされたが、原子力規制委員会が認めれば1回に限りさらに20年運転を延長できると例外規定で定められた。これにより同機は21年6月、運転開始40年以上の原発では初めて再稼働していた。
政府は昨年12月22日に開催した第5回グリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議で、原発の建て替え(リプレース)や、60年以上の運転を認めるという、原子力政策の大転換も行なった。これにより、審査などで運転停止した期間を除いて60年以上たつ原発すら運転できるようになった。しかし、世界で60年を超えて稼働している原発などは1基もない。今回の決定はウクライナ侵略後のエネルギー高騰や「カーボンゼロ」に乗じた政府と電力会社のもくろみにお墨付きを与えた格好だ。
住民や弁護団は決定当日にオンライン会見を開催。「脱原発弁護団全国連絡会」の河合弘之共同代表は「40年以上の原発の再稼働は例外中の例外としていたはずが、もはや一般のものになってしまった。誰だって怖くて40年も前の車なんか運転しないでしょう。電力会社は新増設ではコストがかさむため今の原発を使い倒すと決めたのです。危険極まりない。第一ラウンドは敗北したが、諦めずに戦う」と批判。住民側は1月4日、大阪高裁に即時抗告した。