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馬毛島基地化問題、西之表市長のリコール不成立に

土岐直彦・ジャーナリスト|2023年1月24日7:11AM

本体工事着手の1月12日、西之表市内で開かれた抗議集会。(提供/亀澤修一)

 鹿児島県西之表市の馬毛島を日米共用の軍事基地化する計画をめぐり、八板俊輔市長が「反対の公約を破った」として市民グループが進めたリコール(解職請求)署名収集活動(本誌昨年12月23日号で詳報)が1月1日に終了した。署名数は678筆と必要数には遠かったが「市長は間違っているという評価を市民の中に確実に広げた」と意義づける。市民らの「力不足」を見透かすように防衛省は12日に本体工事に着手し、反対派は強い抗議の声を上げた。

 署名活動は「市長に辞任を求める西之表市民の会」(三宅公人代表)が昨年12月1日から1カ月間実施した。リコールの賛否を問う住民投票には、選挙人名簿登録者数(12月1日現在で1万2326人)の3分の1以上、4100筆あまりの署名収集が必要だった。

「市民の会」が苦戦したのは収集スタッフ不足が原因だ。短期間で数千人の署名を集めるには100人規模の人員が必要とされるが、30人未満にとどまった。反対運動を束ねる「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」が共闘を見送ったことが響いた。

 三宅代表は「力不足を市民におわびする。みんなでやれる限りのことはやった」と振り返る。「公約破り・嘘つき・説明をしない市長を辞めさせたい、馬毛島新基地建設を何としても阻止したいという私たちの思いに多くの市民が賛同。腰痛をおして這って出てきて署名をしてくれた人、震える手でやっと書いてくれた人、署名後思いのたけを語ってくれた人……。そんな多くの市民の声を集めた」。

 会の呼びかけ人の一人は「相応しくない首長や議員は市民の手で代えられるということを知ってもらった点に大きな意味がある。民主主義社会では自治の主役は私たちなのだから」と話す。

「市民の会」は4日、八板市長に辞任要求書を提出。同日で解散した。今後はそれぞれ一市民として市長の政治姿勢を追及していく。

 署名結果を受け八板市長は「市民の安心・安全の追求に引き続き全力を尽くす」とコメントした。

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