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「休刊」を強いられる『週刊朝日』とは何だったのか!

本田雅和・編集部|2023年1月30日7:00AM

新聞が書けない裏の真実

 新聞が書く「建前の事実」という虚構に対し、新聞が書けない「ウラの真実」を『週朝』は書いてきた、と私たちは自負している。私の企画は「10本に5本、6本……」と通るようになり、お行儀のいい新聞記者が取材ビザの順番待ちをしているときに裏ルートを使って湾岸戦争下のバグダッドに入ったり、フィリピンの共産ゲリラ・新人民軍に同行ルポをしたり、新聞社の社会部にいては絶対にできなかったことを編集長の度量でさせてくれた。

『週朝』は『朝日新聞』の解放区だった。『朝日』の中の「新聞第一」のエリート主義が、この解放区を切り捨てたのだ。在籍中に〝週刊紙〟として創刊された『AERA』に対しては「朝日エリート主義の権化」などと反発した同僚は多い。今回、歴代編集長の何人かを訪ねて話を聞いたが、返ってきた言葉は「新聞が正規軍だとしたら週刊誌はゲリラ。小回りが利く『週朝』が『朝日新聞』を豊かにしてきた」(山口一臣・元編集長)、「ジャーナリズムには異分子も要るし、経済的合理性以外のものも必要だ」(永山義高・元編集長=現・開高健記念会理事長)等々。

 松本清張や司馬遼太郎、開高健らが活躍した時代に遡るまでもなく、最新号を見ても綺羅星の書き手が連載や常連執筆者に名を連ねる。一人ひとりに担当編集者が付き、交流を紡いできた。『朝日』はその財産を捨てるのだ。

(『週刊金曜日』2023年1月27日号)

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