「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」が発足
本田雅和・編集部|2023年2月5日7:00AM
環境省がまた虚偽回答?
③福島県南相馬市や二本松市では住民の反対で実証事業は途中で撤回された。その理由は?
➡実証事業の十分なデータの蓄積がなく説明が十分にできず、工事とのタイミングが合わなくなった。
④持ち込まれる汚染土に放射性セシウム以外の核種や有害物質が含まれている可能性があるのになぜ測定しないのか?
➡セシウムのみを測定、考慮することで問題ない。放射性物質は文部科学省の土壌調査結果(2012年にはストロンチウムも計測)を受けてセシウムのみを考慮する。有害物質は土壌汚染対策法を参考に測定。
⑤汚染土を埋め立てて覆土をして空間線量や浸透水を測定するという実証実験終了後、汚染土を再び掘り出し、福島県内の中間貯蔵施設に戻すというが、なぜそんなことをするのか? 覆土と汚染土が混ざり、放射能が拡散するではないか?
➡実証事業だから原状回復する。覆土と除染土は混ざらないようにする。混ざってしまったら、その土も除去して持ち帰る。
他にもさまざまあるが、まず②の回答は大問題だ。「福島県外での安全性」とは何を意味し、県内での安全性とどう違うのか? との住民側の再質問に環境省側は「安全性に関する確認事項については、福島県内外で違いがございません」と回答。既に同省は空間線量がさまざまな場所での実験データを蓄積しており、新たな実証実験の必要性がますます分からない。
本誌1月20日号でも伝えたが、新宿御苑の住民説明会関係でも環境省は虚偽としか考えられない不正確、不誠実な説明をした。今回も③の回答で、工事のタイミングの遅れを中止理由にしたが、18年6月当時、環境省自ら「風評被害への懸念など住民多数の(反対)意見」を理由に、事実上の事業撤回を二本松市長に伝えている。
首都圏への汚染土持ち込みの本当の理由は、「住民の〝核アレルギー〟対策」では? はたまた多くの人が「空約束」だと疑っている「中間貯蔵開始後30年以内(44年度内)の県外最終処分」に向け、環境省は引き受け先を探したが「どこも住民の反発が強く、見つからなかった」というためのアリバイ作りなのか。
(『週刊金曜日』2023年2月3日号)