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2022年貧困ジャーナリズム大賞は毎日新聞「ヤングケアラー報道」
大和田太郎・ライター|2023年2月7日7:00AM
労基法非適用の実態も
「家事労働者過労死事件をめぐる一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞を受賞した池尾伸一さん(『東京新聞』記者)は「家政婦さんに労災が適用されず、亡くなった68歳の女性の夫が訴訟をしていることを知ってびっくりした」と発言。
「女性は朝5時に起き夜12時まで寝たきりの人の世話のほか、ご飯作りやおしめ交換などものすごい労働を1週間続けて亡くなったが『家事労働者』だからと労働基準法適用除外になっている。これは大きく知らせなければと考えた」と取材の動機を語ったうえで、「調べたところ1947年の労基法制定時から適用除外だった。当時から国会でも問題になり、荒畑寒村氏が『女中こそ保護されるべきだ』と述べている。いろいろなことがわかり、報道によって国を少し動かせた」と振り返った。
小説『コークスが燃えている』で「特別賞」を受賞した櫻木みわさんは同作を「自分の経験を基に書いた小説」と紹介。自身が新聞社で非正規社員として働いていた時に妊娠し、これからどう子どもを育てようかと考えた時、新聞社で相談窓口だった同世代の女性に「規定の契約日数がギリギリ足らず、育児休暇は取れないから、遠慮して産休も取らないで辞めた方もいますよ」と悪気なく言われたのがショックだったと言い、「制度があるのに実際には使えない現状を書き残したいと思って小説を書いた」と語った。
(『週刊金曜日』2023年2月3日号)