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経口中絶薬はようやく承認へ 残る課題は?
岩崎眞美子・ライター|2023年2月11日7:00AM
経口妊娠中絶薬はWHO(世界保健機関)が認める「必須医薬品」で、2022年3月にWHOが発表した新ガイドラインでも、12週までの初期中絶については薬剤による方法がより安全で効果的と推奨されている。
一方日本では、初期中絶でも手術以外の選択肢はいまだない。また、母体に負担が大きく、WHOでも「推奨しない」と名言されている掻爬法がいまだ主流の手術法とされてきた経緯もあり、より安全で効果的な経口中絶薬の導入を求める声は年々強まってきた。
21年12月、経口中絶薬を開発した英国・ラインファーマ社が厚生労働省に承認申請してから2年。今年1月27日、厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会が国内初となる経口中絶薬について薬事承認を了承した。
今後の流れは、2月にパブリックコメントを実施。その結果を参考にした上で、厚労省薬事・食品衛生審議会薬事分科会で再審議し、承認の可否を決めるとのこと。早ければこの3月にも正式承認される可能性がある。
もちろん、ただ承認されれば良いというわけではない。国際基準に準じて、薬を誰もが手に入れやすい価格にすることは最重要課題である。また、最新かつ正確な情報発信が行なわれることも非常に重要だ。
今回、承認が検討されている経口中絶薬は「メフィーゴパック」という製品。妊娠維持に必要なホルモンであるプロゲステロンの働きをブロックする薬(ミフェプリストン)と、子宮の入り口を開き、子宮収縮を促す薬(ミソプロストール)の2剤を服用し、子宮内容物を排出するセットだ。
2月1日に公開されたパブリックコメントサイトには、薬剤の詳細な情報や使用条件、治験報告を含めた安全性の審査の過程などを示した資料がアップされている。
資料によれば、国内で本薬の対象にされているのは「妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者」とのこと。国際的な基準からみると3週も少ないという「慎重」さだ。妊娠週数は最後の生理から数えるため、生理がこないことに気づいて妊娠検査薬で調べて反応が出る時点で、すでに4週になっている。それからわずか1カ月足らずの間でないと利用できないことになる。