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「ストップ・リニア!訴訟」が結審 裁判で明らかになったものとは

樫田秀樹・ジャーナリスト|2023年2月13日7:00AM

結審後の記者会見。左から森伸一さん、川村晃生原告団長、関島保雄弁護士、天野捷一原告団事務局次長。横山聡弁護士。(撮影/樫田秀樹)

 2016年5月20日の提訴から26回の口頭弁論を重ねた「ストップ・リニア!訴訟」が2月3日、東京地裁で結審した。

 同訴訟はJR東海が27年に品川(東京都)・名古屋間の開通を目指すリニア中央新幹線(以下、リニア)計画を14年に事業認可した国(国土交通省)を相手取り、その認可取り消しを求めたものだ。

 行政訴訟だが、JR東海も「参加人」という立場で参加している。リニアが走行予定の1都6県(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)の738人(後に782人)の住民が原告となり、リニア計画で予想される問題、すでに起きた問題を口頭弁論でつまびらかにしてきた。

 環境問題では、時速500キロで走るリニアの騒音と振動、日照被害、トンネル掘削による水枯れ、5680万立方メートル(東京ドーム約50杯分)もの建設発生土の処分問題などがある。

 これらに対しJR東海は環境アセスメントの報告書である環境影響評価書ではいずれも「影響は小さいと予測」と記載。原告は生活破壊の可能性が高いとして、アセスの調査内容や情報公開が不十分と主張した。

 計画の妥当性についても、結審では天野捷一原告団事務局次長が「JR東海はリニアの採算性を検証していない。リニア開通によるマーケティング調査も未実施」とJR東海と事業認可をした国を批判。だが、国は当初から「リニア建設は『全国新幹線鉄道整備法』に則り計画された。同法で国が合理的に判断しての事業認可だ」として原告の訴え棄却を求めた。

 さて、この7年間でリニア計画への風向きは大きく変わった。

 ひとつは27年開業が無理であると決定的になったことだ。本誌2月3日号の拙稿「リニア中央新幹線工事の進捗状況」で示したが、工事は全線で遅れている。要因の一つに、21年10月27日に発生したトンネル崩落事故がある。

 また、20年10月18日にはNEXCO東日本(東日本高速道路)が「東京外かく環状道路」建設工事として都内調布市の大深度地下(おおむね地下40メートル以深)で進めていたトンネル掘削中に直上の生活道路が陥没。リニア計画でも同様の条件で自宅の真下を掘削される都民が反対運動を展開したが、果たして21年10月には品川区から発進したシールドマシンが50メートル進んだ地点で稼働不能に。愛知県春日井市でも22年7月に発進したシールドマシンがわずか40センチで止まったままだ。

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