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「ストップ・リニア!訴訟」が結審 裁判で明らかになったものとは
樫田秀樹・ジャーナリスト|2023年2月13日7:00AM
判決は7月18日に
資金不足も隠せない。JR東海は07年に自費でリニア建設すると公表したが、提訴直後の16年11月以降、国から3兆円の財政投融資を受けた。東海道新幹線の収益と合わせれば名古屋までの建設費5兆5000億円は調達できると思われたが、21年4月に同社はさらに約1兆5000億円が必要だと公表。その調達方法は明らかにされていないのだ。
静岡県ではトンネル掘削により県の水源である大井川が毎秒2トン減流するとJR東海が予測したことから、県がいまだに着工許可を出さない。結審では大井川の水を水源とする島田市に住む森伸一さんが「大井川からの農業用水が整備され、農業者は安心して農業を続けられるようになった」とリニア工事の中止を訴えた。
JR東海を巡る情勢は厳しいが、本訴訟も山あり谷ありだった。
結審後の記者会見で川村晃生原告団団長は「悔しかったのは20年12月の中間判決で、782人のうち約7割の532人が原告適格(訴える資格)なしとして原告から外されたこと。私もその一人」と判決を批判。
一方、21年から本訴訟を担当する市原義孝裁判長が、原告が求める山梨リニア実験線への現地見分を22年9月12日に実施し、騒音や振動、日照被害、水枯れなどに苦しむ住民の訴えに耳を傾けたことを高く評価した。
その市原裁判長は判決日を7月18日と指定。弁護団の関島保雄弁護士は「いい加減な判決なら結審翌月の言い渡しもあるが、半年もかけるのは、しっかりした判決文を書くということだ」と評価した。
(『週刊金曜日』2023年2月10日号)