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ファクトチェック法人「リトマス」が支援者募集中
国生滋樹・ジャーナリスト|2023年2月15日7:00AM
ネット等で流布された真偽不明の情報を検証するファクトチェック(以下FC)専門サイトを運営する一般社団法人「リトマス」(東京都新宿区、大谷友也代表)が支援者募集中だが、難航している。
「リトマス」は、東日本大震災の直後からツイッターで情報検証の発信を続けてきた会社員、大谷氏が昨年から活動を始めたFC専門集団だ。
「関東大震災の際に朝鮮人の暴動があったとする記録が警視庁の文書に残っている」との誤情報(実際は「流言蜚語」の一例として記録されていたもの)や、AI(人工知能)で作成した、街全体が冠水した画像を「静岡県の水害でドローンが撮影した映像」と称して流布させた偽情報など、1年間で約60件のFC結果を発表。メンバーにメディア出身者はいないが、その活動実績が認められ、世界のFC団体データベース(米国デューク大学のリポーターズラボが運営)に登録された。
リトマスは年間100件の検証記事を出す体制作りのため、毎月500円以上を寄付するサポーターの募集をクラウドファンディングで開始。3月15日までに100人の目標を掲げるが、2月6日現在、20人未満にとどまっている。(リトマスへの支援はこちらから)。
日本におけるFCの普及・推進活動を行なう非営利団体「ファクトチェック・イニシアティブ」(東京都港区、瀬川至朗理事長)の調査によると、昨年1年間で、日本国内で確認された真偽不明情報は2000件超あったが、既存メディア等によるFCが行なわれたのは1割程度。日本でのFCの量は台湾や韓国などと比べるとかなり少ないという。昨年10月に発足した日本ファクトチェックセンター(古田大輔編集長)も人材確保で難航しているようだ。
民間のFC活動が広がりに欠ける中、日本政府は偽情報対策組織を内閣官房に設置する方針を明らかにした。今後の偽情報対策が官主導となる恐れが高まっている。
(『週刊金曜日』2023年2月10日号)