共産党が除名処分 党首公選・自衛隊合憲論の波紋
本田雅和・編集部|2023年2月18日11:35AM
共産党は2月6日、京都南地区委員会所属で党本部の政策委員会・安保外交部長も務めた松竹伸幸氏(68歳)が、党内機関で意見を述べずにいきなり外部から「規約・綱領への攻撃を開始した」などとして除名にした。松竹氏は、1月20日付で出版した『シン・日本共産党宣言』(文春新書)や最近の記者会見などで「主要政党で党首公選をしていないのは共産党と公明党だけだ」として実施を求めるとともに「核抑止抜きの専守防衛」論を唱えて党の綱領が「廃棄」をうたう日米安保条約については「堅持」を、憲法9条違反として「解消」をめざす自衛隊については「合憲」論を展開していた。
共産党規約では組織原則として「民主集中制」を掲げ、①党の意思決定は民主的な議論をつくし、最終的には多数決で決める。②党内に派閥・分派はつくらない。――などと規定。「党員の権利と義務」として①党の決定に同意できない場合は自分の意見を保留することができるが、党の決定に反する意見を勝手に発表することはしない。②党の会議で、党のいかなる組織や個人に対しても批判することができるし、中央委員会にいたるどの機関にも質問し、意見を述べ、回答を求めることができる。――などと決められている。
党委員長は現在、指導機関の中央委員会が選出しているが、約200人の中央委員は全国大会=党大会に参加する代議員によって選ばれる。党機関紙『赤旗』(1月21日付)は、全党員による直接選挙をしない理由として、各候補による多数派獲得の活動=派閥・分派活動を党が奨励することになるからだとした。特に松竹氏が中央委員会や幹部会などに対しても「意見を述べる権利」を一度も行使せずに、党内の異論が「公開されていない」などと外から攻撃したことを、規約違反としている。
この点については松竹氏も6日の日本記者クラブでの筆者の質問に対し、事実関係を認めたうえで「党首公選が党の決定に反する意見だと見なさなかった。この問題を党内できちんと議論していくためには、自分のやり方がベターだと判断した」と釈明。小池晃・書記局長は同日の国会内の記者会見で「異論を持ったから除名ではない。異論で外から突然攻撃した。攻撃されたらやっぱり党をしっかり守らねばならない」と語った。