共産党が除名処分 党首公選・自衛隊合憲論の波紋
本田雅和・編集部|2023年2月18日11:35AM
「党の政策を豊かにする」
松竹氏は自著や会見で「国民の目から見ると共産党は異論を許さない政党だと見なされる」などと危機感を表明。その異論の核心が日米安保・自衛隊の堅持・容認論だった。専守防衛は自衛隊合憲を前提にして初めて成立する。
一方の共産党側は「今や専守防衛さえ覆す岸田内閣の大軍拡に反対する国民多数派をつくる」ために、自衛隊を合憲と考える人々とも協力、譲歩を重ねてきたとも言える。しかし、「国民多数の意思で日米安保を廃棄」「9条の完全実施による自衛隊の解消」が「綱領の根幹」であることは変わらない。
松竹氏自身が「党内の安保・自衛隊への拒否感は著しく強いものがある」とし、たとえ党首公選が実現して自分が立候補できても、「安保・自衛隊即時廃棄」の対立候補が出たら「圧勝するだろう」との見方を示した。党支持者からは「野党共闘のためとはいえ、立憲民主党や保守リベラルへのすり寄りではないか」との批判も出ている。
党執行部や多数派の許容量を超えるような提案をあえてした理由について松竹氏は「立憲やリベラルに近づくというのではなく、党の政策が初期段階では安保・自衛隊堅持を認めているのだから考え方は共通している。立憲や自民・リベラルの専守防衛論も米国の核抑止の傘に頼っているから『核抑止なき』というところが異なり、私の考えで党の政策を豊かにしていくという立場だ」と説明した。
処分を不服とする松竹氏は「中央委と党大会に再審査を求めることができる」との規約に則り、来年1月の党大会に向け、処分撤回とその場での党首公選実施をあくまで求めていくという。
(『週刊金曜日』2023年2月17日号)