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LGBT理解増進法案は「透明人間のような法案」

岩崎眞美子・ライター|2023年3月4日6:30AM

日本外国特派員協会で記者会見に臨む。左から松中権氏(MFAJ)、神谷悠一氏、寺原真希子氏。(提供/LGBT法連合会)

 性的マイノリティや同性婚をめぐる荒井勝喜首相秘書官(当時)の差別発言を受け、当事者支援団体「LGBT法連合会」と同性婚の実現を目指す公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン(MFAJ)」が2月16日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を行なった。

 MFAJ代表理事の寺原真希子弁護士は、「前首相秘書官の差別発言は性的マイノリティの存在を否定し、尊厳を深く傷つけるもの」と批判。それが「日本社会全体にあやまったメッセージを与え差別を助長する」と指摘した。

 政府に対しては、①結婚平等法案(同性カップルの結婚を法制化するための民法と戸籍法改正案)の作成にただちに着手すること、②今年5月に開催されるG7(主要7カ国)広島サミットまでに性的マイノリティの権利保障を検討するワーキングチームを組成し、同性カップルやその家族等からヒアリングをすること、③性的マイノリティの人権問題を専門に担当する首相補佐官をすみやかに任命すること、④国勢調査で同性カップルの実態を把握すること、の4点を要請したことを報告した。

 LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は、前首相秘書官の発言が国際基準においても到底許されないものであると発言。「G7で来日する海外の要人やスタッフにも、性的マイノリティ当事者がいる。そこで『見るのもいやだ』と言う首相秘書官やスタッフがいることがどう受け止められるのか政府は考えるべき」と強く批判した。

 会見では、現在、国会で超党派の議連が法案整備を進めようとしている「理解増進法」が、有名無実のものになることへの懸念がくり返し示された。

 神谷氏は「国際的な指標にひとつも引っかからない透明人間のような法案」と批判。前出の寺原氏も、「差別禁止法や婚姻の平等など必要な法律に国が着手しないアリバイ作りに利用されるのでは」と懸念を示した。

 また寺原氏は、現在、婚姻の平等を求める五つの裁判が起こされ、札幌地裁では違憲判決、東京地裁では違憲状態判決が出ていること、世論調査でも同性婚への賛成割合が6割を超えていることにも言及。「世論の理解は大きく進んでいる」として、「LGBTへの『理解増進』ではなく明確に差別を禁止する法整備を進めてほしい」と強調した。

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