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アベノマスクの単価を開示せよ 大阪地裁判決
佐藤和雄・編集部|2023年3月14日7:00AM
『安倍晋三回顧録』が刊行されるなど、安倍晋三元首相の業績への関心が高まりつつある中、司法の場では「安倍政権の検証」とも言うべき訴訟が続いている。新型コロナウイルスの感染対策として、安倍政権が全国に配布した布マスク(通称「アベノマスク」)をめぐるものだ。
神戸学院大学の上脇博之(かみわき・ひろし)教授が原告となり、マスクの単価と購入数量の情報を公開するよう求める訴訟と、調達業者との契約締結に至る経過などの行政文書を開示するよう求める訴訟を大阪地裁に起こしていたが、前者の判決が2月28日、大阪地裁(徳地淳裁判長)で言い渡された。結果は、情報公開については原告側の完勝だった。
被告の国は公開を拒む理由として「(契約した)企業の調達能力、営業ノウハウ、アイデアに関する情報を同業他社が入手できることになる」と述べていたが、判決は「営業ノウハウやアイデアに関する情報が明らかとなるとはいえない」と一蹴したのだ。
原告の上脇氏と弁護団は判決を受けて声明を発表した。少し長くなるがその重要な部分を引用したい。「国民の大半が利用しなかった安倍政権のコロナ対策の典型的な失敗事例である『アベノマスク』配布事業について、キチンと全ての情報を国民に明らかにし国民的総括、反省をする機会を政権および中央官庁は隠蔽し奪ってきた。判決は、司法がこのような隠蔽体質を断罪し、情報をすべからく国民に明らかにするよう命じたものであり、重要な意義がある」
弁護団の中で事務局的な役割を果たしてきた谷真介弁護士は、「随意契約で500億円もの国民の税金を使っている以上、購入単価の開示は当然です。単価の開示はほんの入り口で、本丸は業者選定や契約締結、価格決定の経過に関する文書がなにもないとか、メールはあったが捨てたと言っている別件訴訟の方です」と話している。
(『週刊金曜日』2023年3月10日号)
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