リニア残土フォーラム開催の御嵩町がJR東海と裏会合
井澤宏明・ジャーナリスト|2023年3月29日7:00AM
渡邊町長が突如引退を表明
一方、打ち合わせに疑義を呈した有識者もいた。12月8日の記録では有識者の1人がJR東海との同席を拒否したことが報告され、その理由として「住民目線からすれば、フォーラムに参加するJR東海、町、有識者が事前のすりあわせを行っていると見られる可能性は当然ある」と記されている。
この残土処分場をめぐっては、予定地がある「美佐野ハナノキ湿地群」が16年に環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」に指定されていたにもかかわらず、町やJR東海が長年伏せてきたことが昨年10月末、筆者の報道(『サンデー毎日』11月6日号)などで表沙汰になった。町民の不信感は払拭されないままだ。
3月8日の町議会では、岡本隆子議員がフォーラムの事前打ち合わせにJR東海と有識者が同席していることを問題視。「有識者の発言がJR寄りではないかと感じることが多々ある」と問いかけた。これに対して渡邊町長は「内容や答えをすり合わせるために打ち合わせをやったわけではない」として、有識者の中立性を強調した。
この日の議会で、町長は6月25日の町長選に出馬せず、4期で引退すると表明。残土処分場を受け入れるか否かは「先送りするしかない」と任期中に判断しないことを明らかにした。処分場問題は町長選の争点にもなりそうだ。
(『週刊金曜日』2023年3月24日号)