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「いくら韓国が嫌いでも殺すとは言ってはいけない」 民団徳島県本部への脅迫事件で39歳男性を逮捕・起訴

石橋学・『神奈川新聞』記者|2023年4月1日8:49AM

3月11日、記者会見でヘイトクライムへの悔しさから目頭を押さえる姜盛文団長。(撮影/石橋学)

 在日コリアンを標的にしたヘイトクライムが止まらない。在日本大韓民国民団(民団)徳島県本部に届いた脅迫状には民族の抹殺を想起させる「浄化」の2文字が記されていた。3月11日、容疑者の逮捕を受けて姜盛文団長(45歳)は徳島市内で記者会見を開き、涙で声を詰まらせながら訴えた。「いくら韓国が嫌いでも殺すとは言ってはいけない」。エスカレートする一方の差別犯罪のとめどなさに、そんな当たり前のことを口にしなければならないやりきれなさがあふれ出た。

 紀伊半島を対岸に望む小松島市にある県本部に「民族赤報隊」を名乗る封書が届いたのは2022年9月16日。

〈先日ハ空砲ニヨル威嚇射撃デ事ナキヲ得タガ、反日政策ヲ続ケル様デアレバ、次ハ実弾ニ寄ル消化ニヨッテ浄化スル〉

 定規で引いたような角張った赤い文字。最初に目にしたのは「徳島の人たちのため、日韓交流のために」と企画したK―POPコンサートの打ち合わせで集まったボランティアの同胞たちだった。事務職の女性は出勤できなくなり、看板を外して防犯カメラを設置しなければならなくなった。

 3月1日、脅迫容疑で39歳の男が徳島県警に逮捕された。隣町の住民だった。「ヘイトの問題は都会の出来事だと思っていた。大好きな人がたくさんいる徳島の人がこんなことをするようになってしまったのがつらい」。姜団長が目頭を押さえた。

 これまでも日韓関係が悪化するたび、電話や手紙で「帰れ」という嫌がらせはあったという。「軽く見ていたが、今回は武器を自作して本当に攻撃してくるかもしれないと思った」

 姜団長の頭によぎったのは脅迫文が届いた2カ月前にあった安倍晋三元首相銃撃事件。何より、命を脅かすヘイトクライムが続発していた。21年7月、民団の愛知県本部と奈良県北葛支部で放火未遂事件が相次いだ。同一犯である当時22歳の男は名古屋市の韓国学校にも火を付け、翌8月、在日コリアン集住地域の京都府宇治市ウトロ地区で民家など7棟が全半焼する放火事件を起こした。いつもは留守番をしている子どもたちが難を逃れたのもたまたま外出していたからで、多くの死者が出てもおかしくなかった。

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