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「いくら韓国が嫌いでも殺すとは言ってはいけない」 民団徳島県本部への脅迫事件で39歳男性を逮捕・起訴
石橋学・『神奈川新聞』記者|2023年4月1日8:49AM
「差別を禁止する法律をつくって」
22年4月には29歳の男が大阪府茨木市のインターナショナルスクール「コリア国際学園」に火を放った。事件を起こした2人の裁判で明らかになったのは「韓国・朝鮮」と名の付くものへの全く筋違いな、しかし強烈な敵意。在日コリアンを追いだそうと暴力をふるうことへのためらいのなさも共通していた。人を人と思わぬ差別のなせる業、「不法占拠している」「在日は犯罪が多い」といったデマを交えたインターネット上のヘイトスピーチにあおられた末のヘイトクライムだった。
会見に同席した民団中央本部人権擁護委員会所属の殷勇基弁護士は、担当の警察官と検察官に面会したことを明かし、強調した。「欧米ではヘイトクライムは刑が加重されて処罰される。差別の側面を重く見て制裁を加えないと、事件は繰り返される。米国のように殺される人も出てくる」
徳島県は全国で4番目に人口が少なく、同胞も約300人で民団徳島県本部の規模も最も小さい。姜団長は訴える。「みな普通に暮らし、地域のためにという思いだってある。なぜ殺すと脅されなければならないのか。こういう人はいないと思っていた徳島で県民が事件を起こすようになった。つまり全国どこでもあり得る。気が休まる場所はもうない」
徳島地検は3月22日、容疑者の男を起訴した。「おとがめなしでは、何をするか分からない人間が近くにいるという恐怖の中に暮らさなければならない」。そう案じていた姜団長は胸をなで下ろし、念を押す。「受けるべき罰をしっかり受け、反省してもらわないと困る。その上で日本政府がこの状況を変えることが欠かせない。差別を禁止する法律をつくってヘイトクライムを規制してほしい」
(『週刊金曜日』2023年3月31日号)