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特別永住者証提示断った在日韓国人の口座開設を銀行拒否
「外国人差別」と救済申し立て
平野次郎・フリーライター|2023年4月3日12:11PM
背景に「テロ対策」か
ではなぜ、りそな銀行などの銀行が法的根拠のない特別永住者証明書や在留カードの提示を求めるのか。申立書は金融庁が21年2月作成の「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問」で、在留期間の定めのある外国人についてリスク低減措置として在留期間を確認するなどの顧客管理を実施する必要性を示唆しているからだと説明する。
こうしたことから申立書は、りそな銀行が日本国内に住居がある外国人の口座開設にあたって特別永住者証明書や在留カードの提示を求めるのは不合理な外国人差別だとし、金融庁は自由権規約や人種差別撤廃条約の締約国として銀行によるこうした差別的取り扱いをやめさせる条約上の義務を負うとして、りそな銀行と金融庁に警告を出すことを求めている。
申立人を支援する多民族共生人権教育センターの文公輝事務局長によると、1980年代まで在日外国人が口座を開設しようとした際に外国人登録証の提示を求められたが、抗議行動によって提示しなくてもよくなった。2012年の改正出入国管理法施行で外国人登録証は特別永住者証明書と在留カードに替わったが、以前と同様のことが起きたのは、外国人は犯罪リスクが高いとする差別意識が変わっていないからだと批判する。
筆者の取材に対し、りそな銀行大阪本社は「日本国籍のない人の口座開設については在留期間などの確認のために在留カードの提示を求め、特別永住者証明書は在留期限のないことの確認のためにお願いしている」、金融庁は「本人確認事項などの調査は金融機関がリスクに応じて判断すべき事柄であり、一律に特別永住者証明書などによる確認を求めているものではない」と回答した。
(『週刊金曜日』2023年3月31日号)