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性的少数者差別も禁止 相模原市の審議会が画期的な条例案を答申

師岡康子・弁護士|2023年4月8日9:42AM

人権施策審議会の答申では、条例の前文に津久井やまゆり事件について「ヘイトクライムであり、決して容認することはできない」などの文言が盛られるよう求めている。(同答申の4ページから)

「人権尊重のまちづくり条例(仮称)」制定に向け、神奈川県相模原市の人権施策審議会は3月23日、2016年に同市内で起きた「津久井やまゆり園事件」をヘイトクライム(差別犯罪)とし、悪質な差別的言動を罰則付きで規制する画期的な条例制定を求める答申を本村賢太郎市長に提出した。

相模原市のホームページから。

 提案された条例の内容で注目すべき点は、①障害者大量殺傷事件「やまゆり園事件」をヘイトクライムとして前文に盛り込む。②悪質な差別的言動を禁止し、勧告・命令を経ても止めない場合は公表対象とし、著しく悪質なものは秩序罰(過料)または行政刑罰(罰金など)を科す。③差別的言動の対象を人種・民族・国籍、障害・性的指向、性自認、出身(被差別部落など)とする。④差別事件発生時には市長が速やかに「非難声明」を出す。⑤一定の独立性を持つ専門的第三者機関として「相模原市人権委員会」を設置する。⑥委員会は被害者救済のための調査や調整、加害者への説示、差別解消のための調査・審議、市による差別禁止措置の各段階におけるチェックを行なう――など。

 条例案は国際人権基準にも合致する。戦後最悪のヘイトクライム事件である「やまゆり園事件」を法的に「ヘイトクライム」と認定すること自体に意義があり、日本の法制度上も初めてのことだ。

 悪質な差別言動=ヘイトスピーチを禁止し罰則を科することは、本来、人種差別撤廃条約や自由権規約で求められている日本の国際人権法上の義務であるが、現在日本で規定されているのは「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(19年)のみである。同条例制定後、罰則付き禁止条項に明確に違反する言動はほぼなくなるという明確な成果も出ている。

 川崎市以降、公的機関が罰則付き差別禁止条項を提案したのは初めてで、川崎のような在日コリアン集住地区がない相模原市で、こうした条例が実現すれば、波及効果は大きい。

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