「バスカフェ」を妨害から守れ!
東京都の指示で委託事業中止に「Colabo」が抗議
小川たまか・ライター|2023年4月9日7:00AM
苦境打開すべく寄付実施
都福祉保健局担当者は取材に対して「(バスカフェのように)屋外では安心ではない。たとえばビルの一室を借りてなど、いろんな策はあった」とコラボ側から代替案の提案がなかった点を強調。
一方、仁藤氏は「ビルの一室でやっても妨害者はその前まで来る。バスカフェのある区役所前は新宿区の敷地内ということもあり、簡単に人が入れない構造もあった。アウトリーチでつながった女性を最初から室内に案内するハードルも高い。都は他のやり方での実施が無理とわかっていて言ったのではないか」と対応を批判する。実際にバスカフェを取材すると、ラッピングバスと建物の間にテントが建てられ、路上からは利用者を観察することができない一方、利用者にとっては屋外にいる開放感があることがわかる。
2019年から都の委託事業となったバスカフェには、虐待などで居場所のない若年女性たちが訪れる。高校生の頃にバスカフェでコラボとつながり、今はスタッフとして働く20代女性は「最初から自分の状況を話せる子ばかりではないので、ご飯を食べながら洋服を選びながら、そういう中で出てくる話がとても大事。バスカフェが開催できないことで、今自分の身に起こっていることを話せない女の子たちがもっと悪い方向へ行ってしまうことが心配」と話した。
22日に続き29日のバスカフェも中止に。両日とも都庁前で抗議集会が開かれたが、この際も無断撮影した映像をネット上に流そうとしたり、大声を出したりするなど、複数人による妨害が行なわれた。
一連の騒動の中でバスカフェは4月以降、都の委託事業ではなく、補助事業となる予定とされる。仁藤氏は「ネット上のデマを信じてコラボへ行くなと言われている子もいる。顔を見ないと打ち明けられない深刻な相談も多い中、バスカフェを実施できず悔しく思っている。4月からは委託事業ではなくなり、補助金申請はするが、受けられるかはまだわからない。今後は寄付金でやっていくしかない」と話す。
コラボの公式サイト(※)では、裁判費用のカンパや事業継続のための寄付を募っている。
(『週刊金曜日』2023年4月7日号)
※https://colabo-official.net/