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「帰れば逮捕される」
入管法改正案の国会審議入りを前に悲痛な訴え

樫田秀樹・ジャーナリスト|2023年4月10日7:00AM


入管法改悪反対の院内集会で実情を訴える仮放免者のサディクさん(左)と、ナオミさん(中)、マユミさん。(撮影/樫田秀樹)

 政府が3月7日に閣議決定した入管法改正案が4月中旬から国会審議される可能性がある。3月30日、東京・永田町の参議院議員会館で、その廃案を求める二つの集会が開催された。

「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」(以下、市民連合)主催の「入管法改悪反対 緊急院内集会」には、仮放免者のサディクさん(パキスタン出身)、仮放免者の夫をもつ日本人配偶者のナオミさんとマユミさんの3人が登壇した。

 改正法案は2年前に廃案になった同法案と骨子は同じ。たとえば、難民認定申請が2回不許可になった外国人は、3回目の申請で特別な事情がない限り送還措置がとられ、拒めば刑事罰を科せられる。

 これに今、送還忌避をしている約3300人の仮放免者は怯える。ナオミさんの夫のナビーンさん(スリランカ出身)は、反政府活動で命を狙われ2004年に来日し、ナオミさんと16年に入籍。2回目の難民申請中だが、改正法案が可決すれば(申請回数が全員一律にリセットされない限り)、申請が不許可となり3回目の申請に及ぶと、送還の可能性がある。

 ナオミさんは「夫が帰れば暴行や投獄の恐れがある。夫は長い仮放免生活で精神が乱れ、自殺未遂もしています。私たちが引き裂かれたら夫は自殺するかもしれない。私は夫を帰すわけにはいかない」と涙をこらえて訴えた。

 マユミさんの夫のウチャルさん(トルコ出身のクルド人)は兵役から逃れるため08年に来日。マユミさんとは15年に入籍した。現在、4回目の難民申請中。もし改正法案が可決されれば、そのまま送還の対象とされる可能性すらある。

 サディクさんは1988年にパキスタンで反政府の学生デモに参加。その後、学生に死者も出る政府の弾圧に、ビザなしで行ける日本に避難した。2007年には「永住者」の在留資格を持つリュウさん(中国出身)と入籍。だが結婚前後で夫が2回収容されたことにリュウさんは心の平静を保てず流産。さらに14年と20年に乳がんで摘出手術を受け働けなくなり、中国の家族からの仕送りで夫妻はぎりぎりの生活を強いられている。

 それでもサディクさんは帰国を選択しない。「帰れば逮捕される。ならば、送還を拒否して刑務所に入るほうがいい」と言い切った。

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