41道府県議選の女性当選者14%から何を読み取る?
宮本有紀・編集部|2023年4月22日7:00AM
日本の女性が初めて参政権を行使した1946年4月10日から77周年の今年同日、女性の政治参画の意義を再確認するオンラインイベントが開催された(主催:パリテ・キャンペーン実行委員会、ウィメンズアクションネットワーク)。
統一地方選挙の最中である今年のテーマは「棄権スルナ女性〜私たちには明日を変える力がある」。実行委員会の細島汐華氏によれば「国政選挙より投票率が低いとされる地方選挙に呼びかけようと、市川房枝の言葉『棄権するな女性』からつけた」という。
9日は統一地方選前半戦の投票日で、41道府県議選で女性は過去最多の489人が立候補し、当選者も316人(当選率 64・6%)と過去最多だった。ウィメンズアクションネットワークの上野千鶴子理事長は「過去最多と言うが割合は14%。5割はもとより3割にも届かない情けない状態。地方の政治家が増えないと国政の政治家は増えない。女性政治家が増えると政治は確実に変わる」と挨拶。ただ、「女性なら誰でもいいのか。女性の政治家でも、選択的夫婦別姓や同性婚に賛成かどうかなどのチェックポイントを大切に判断していただきたい」と釘を刺した。
東京・杉並区の岸本聡子区長は女性候補が増えたことを「すごく嬉しい。女性の背中を押す風が吹いている」と評価しつつ「危機感があるということでもある。個人が尊重されない社会に対する悲鳴を反映している」と指摘。また、「(9日の)知事選と市長選の当選者が全員男性だった。広域行政区や大都市の首長がほぼ男性で、広域自治体が男の政治の場になっている」と批判し、「たとえば前回のフランスの統一地方選挙では、10の大都市のうち5都市の市長が女性だった。(日本も)そうであるべきだ」と話した。
立候補に対する壁や女性候補者の直面する課題も語られた。ジャーナリストの安藤優子氏は「候補者選定に大きな疑問を感じた。どういう人が応募し、どういう選考がされたのか、選定過程を公表してもらいたい。地方議会では議員を代々受け継いでいくようなところがあるが、それは普通の女性が新規参入する大きな壁になる。公募制度の透明性が担保されなければ、縁故や地縁に頼って候補者を発掘するという悪しき選定方法が改善されない」と指摘した。