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入管法「改悪案」 4月中に衆院で強行採決か

西中誠一郎・ジャーナリスト/ 渡部睦美・編集部|2023年4月23日7:00AM

国会前での緊急集会でスピーチするワヨミさん(左)とポールニマさん。(撮影/西中誠一郎)

「戦後最悪」とも言われた2021年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正法案と、同様の骨格を維持した法案が3月7日に閣議決定され、4月13日に衆議院で審議入りした。21年の法案には国際人権基準に著しく違反するなどとする強い批判の声が国内外から上がり、審議未了で廃案になっていた。今回は4月中にも衆議院で強行採決されるとの予測もあり、危機感が広がっている。

 法案の内容は①3回以上難民申請している人の強制送還を可能ににする、②退去命令に応じない人に刑事罰「送還忌避罪」を科す、③被仮放免者(一時的に収容を解かれた者)を「監理人」が監督監視する「監理措置」制度の創設――などだ。13日午後には趣旨説明と質疑が衆議院本会議で行なわれた。傍聴席には名古屋入管で約6カ月半の収容の末に21年3月6日に亡くなったスリランカ人元留学生、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の妹ワヨミさん(30歳)とポールニマさん(28歳)、弁護士、支援者らの姿があった。妹2人は姉の遺影を胸に掲げて、遠くの壇上で法案趣旨を無表情に読み上げる齋藤健法務大臣の姿をじっと見つめていた。

 妹2人は21年5月1日、姉の葬儀と死亡事件の真相究明のために来日。ウィシュマさん死去の約2週間前から、名古屋入管が監視ビデオカメラで撮影していた約295時間分の動画記録の提供を法務省に求め続けたほか、真相究明や責任者処罰、再発防止のため名古屋地方検察庁に刑事告訴したり、名古屋地裁に国家賠償請求訴訟を提起するなどの活動を続けてきた。

 法案の国会審議入りが間近に迫った6日、妹2人と弁護団は記者会見を開き、6月に予定される国賠訴訟の法廷で上映予定の約5時間のビデオ動画のうち5分間ほどを初めて公開。「どのような状況でウィシュマさんが亡くなったのか、市民がまったくわからない状況で入管法改悪法案の国会審議に入るわけにはいかない」(指宿昭一弁護士)との趣旨だった。しかし齋藤法相は翌7日の定例記者会見で「原告側が勝手に編集してマスコミに提供した」と言い放った。

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