入管法「改悪案」 4月中に衆院で強行採決か
西中誠一郎・ジャーナリスト/ 渡部睦美・編集部|2023年4月23日7:00AM
「監理措置」への懸念も
13日の衆議院本会議で質問に立った立憲民主党の山田勝彦議員は「公開できない理由の一つとして大臣は『ウィシュマさんの名誉と尊厳を守るため』とよく言うが、必要な医療を受けさせず、ウィシュマさんの名誉や尊厳を傷つけてきたのは入管庁。遺族は映像を国会議員だけでなく日本のみなさんに見てほしいと言っている。そうすれば入管の中で何が行なわれているかがわかる」と動画公開の必要性を指摘。ウィシュマさん死亡事件の真相究明なしで法案審議はありえないと訴えた。共産党の本村伸子議員は「送還一本やりで、保護すべき人を保護するための法案になっていないことが大問題」と述べた。立憲民主党の「次の内閣」は13日夕方、議員立法として国際人権基準に依拠した「難民等保護法案」と「改正入管法案」の参議院への提出を了解した。
改正案の「監理措置」についても、それを担う「監理人」に想定されるのは弁護士や支援団体などで懸念が大きい。NPO法人「なんみんフォーラム」は13日、「監理措置」に関して「監理人」に想定される人や団体を対象に意見を集約した結果(4月3日~10日調査。意見総数132件)を公表。92%が「監理措置」を「評価できない」、90%が「監理人」になれない・なりたくないと回答したという。
妹2人は傍聴後、国会正門前での集会「#入管法改悪に反対」緊急アクションに参加。ポールニマさんは約350人の市民に「法務大臣は『最終報告書は正しい。ビデオとの食い違いはない』と言った。だが最終報告書では、一生懸命助けを求める姉に入管が何もしなかったことはわからない。国会議員にビデオを見せるべきだし、姉の死を繰り返さないよう市民にもビデオを公開すべきです。そうでなければ入管は同じことを繰り返します。命と人権を守るための法律を作って下さい」と訴えた。
(『週刊金曜日』2023年4月21日号)