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「元外国籍」を理由にゴルフクラブ入会拒否
津地裁支部、違法性認めぬ判決

黄澈・ジャーナリスト|2023年4月30日7:00AM

在日差別への視点欠く

 今回の裁判では、公権力による差別を禁止する憲法14条の「法の下の平等」が、私人の間においてどう適用されるべきかが問われた。いわゆる「私人間効力」の問題についての論文もある早稲田大学の愛敬浩二教授(憲法学)に聞いた。

               ◇                   ◇

 被告のゴルフクラブは裁判で、外国籍・元外国籍の会員の入会を制限する理由について「生活様式などが日本人と異なり、設立当初の雰囲気が変わる」と説明した。

 しかし会員数が約1500人にも及び、会員権も市場で広く売買されているクラブが、構成員の選択について完全な自由を持つ「親密な閉鎖的団体」と言えるだろうか。会員数を抑制するなどの運営もせず、外国人を排除すれば雰囲気を維持できるというのも疑問だ。

 団体の規模が大きくても、政治団体など特定の主義・主張に基づく結社であれば、それに反する考えを持つ人を入会させないことも認め得る。しかし、こうした主張を掲げず、広く会員を集めているゴルフクラブの場合、主張できるのは経済的自由に限られ、出自を理由にした排除を正当化するには、そうしなければクラブの経営を維持できなくなる特別な必要性を示す必要がある。

 確かにゴルフをする自由は重要な権利ではないかもしれない。しかし問題はゴルフの機会というよりも、日本人として生まれた人にはまったく問題にならない元の国籍だけを理由に、地域社会の権威ある場所から排除され、個人の尊厳を侵害されたことそのものだ。

 判決は憲法の趣旨に照らして民法の不法行為が私人間に適用できるかを検討したが、民法が2条で、私人間でも個人の尊厳の保護を求めていることを無視しており、さまざまな場面で差別を受けてきた在日コリアンの実態への視点を欠いているように思える。(談)

(『週刊金曜日』2023年4月28日号)

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