「これ以上、海を汚すな!」 原発汚染水海洋放出に世界各地で「反対」の声
牧内昇平・フリーランス記者|2023年5月1日7:00AM
東京電力福島第一原発にたまる汚染水(ALPS処理水)について、海洋放出に反対する国内外の市民たちが4月13日前後にかけて、一斉のアピール行動を行なった。日本政府が2021年4月13日に海洋放出の方針を決めてからちょうど2年になることを契機とした「グローバルアクション」だ。日本国内だけでなく、米国、フランス、太平洋の島国などで市民たちがそれぞれの地で「汚染水を海に流さないで!」と声を上げた。
13日午後12時半、福島県いわき市小名浜の水族館「アクアマリンふくしま」前の交差点に約30人の市民が集まった。海の生き物を描いたブルーの旗が太平洋からの海風にたなびく。参加者たちはプラカードをかかげ、〈汚染水を海に流さないで!〉〈海を守りましょう!〉など、通行人や道路を走る車にアピールした。
小名浜でのスタンディング(街頭行動)を主催しているのは、市民グループ「これ以上海を汚すな!市民会議」(以下、「これ海」)のメンバーたち。日本政府が海洋放出の方針を決めてから2カ月後の21年6月以降、毎月13日にスタンディングを行なってきた。
「これ海」が発行するリーフレットによると、海洋放出に反対する主な理由は以下の5点である。
①ALPS処理汚染水に含まれるトリチウムは体内に取り込まれると危険である、②汚染水に含まれる放射性物質はトリチウムだけではない。炭素14も除去されない、③炭素14の影響を伏せるなど、政府や東電は市民に十分な説明をしていない、④漁業者や福島県内の市町村議会、全国の市民から反対の声が上がっている、⑤タンクを大型のものに換えるなどすれば今すぐ海洋放出する必要はない。
スタンディングでは「これ海」の共同代表を務める織田千代さん(いわき市在住)がマイクを握った。
「放射能のことを気にせず、健康に毎日を暮らし、子どもたちが元気に遊び、大きくなってほしい。そんな不安のない毎日がやってくることが望みです。これ以上の放射能の拡散を許してはいけないと思います。これ以上放射能を海にも空にも大地にも広げないで!」