老朽美浜3号機、運転差止仮処分 福井地裁「来年3月までに決定」
脱原発弁護団全国連絡会|2023年5月3日7:00AM
国内初の40年超運転の関西電力美浜原発3号機(1976年12月1日運転開始)は活断層に囲まれ、ひとたび原発過酷事故が起きれば、若狭湾の他の原発に向かって逃げなければならない。このような危険な原発は一刻も早く止めなければならないと、福井県民10人が1月13日、関西電力に対して、運転差止を福井地方裁判所に申し立てた仮処分(本誌1月27日号参照)で、第1回目の審尋期日が4月19日、開かれた。申立時の上杉英司裁判長が異動し、4月1日より加藤靖裁判長が担当となった。
期日後の記者会見を兼ねた報告集会で、弁護団共同代表の井戸謙一弁護士が、申し立て内容の概略と期日での内容を次のように説明した。
裁判長は期日の冒頭に、来年3月までに決定を出すとはっきり述べた。そこで、双方の主張立証は11月までに終えてほしい、その前提で今後の主張立証のスケジュールを検討してほしいと述べた。
住民側は、美浜原発は危険なので仮処分で、早期に判断をしてもらいたいと、地震と避難計画に争点を絞り込んだ。運転から50年近くになる老朽化の問題を背景事情として説明している。地震もいろいろな問題があるが、大きくは、①基準地震動993ガル以下の地震動でも危険、②具体的な活断層が動いた時の想定993ガルはそれ自体が低すぎる、③揺れを想定する経験式が持っているバラツキを考慮していないという理由で大阪地裁が大飯原発の設置変更許可処分取消判決を出したが、美浜も同じであること、④新規制基準では、敷地近傍にある場合に特別な考慮をすべきとしているが、美浜はごくごく近くに一級の活断層があるのに考慮していないという4点に絞った。
関電の提出した答弁書では、エネルギー供給体制の現状、原子力発電の仕組み、新規制基準の規定、安全確保のための安全対策といった一般論を述べて却下を求めた。関電は、上記申立人らの主張に対する反論は今後提出するとした。
裁判所が3月までに判断を示すとしたことに対して、井戸弁護士は、「仮処分なのでそれなりに急がないといけない要請と、普通の仮処分と違って複雑で難しい点もあるので、ある程度の時間をかけないと拙速な決定となってしまうという、二つのバランスのなかで1年の期間を考えたのだと思う。裁判長は今年4月に着任したばかりだが、陪席が変わる可能性もある。そうなると新たな裁判官が理解するのに時間がかかるので、3月と明言することで退路を断って、決意を示されたのだと思う」と述べた。
今後の審尋期日は、次回が7月3日15時、次々回が9月22日16時からを予定している。