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武器輸出は拡大するのか
防衛力強化2法案、立憲は防衛産業支援には賛成

金本裕司・ジャーナリスト|2023年5月14日7:00AM

「防衛生産基盤強化法案」採決と、立憲民主党の「賛成」方針に反対する市民集会。4月27日、東京・永田町の衆議院第二議員会館前で。(撮影/金本裕司)

 岸田文雄政権がめざす防衛力の強化に向けた2法案の国会審議が進んでいる。後半国会の最重要法案の一つだが、野党側の国防に対するスタンスの違いが法案審議や賛否に色濃く反映している。法案の行方を注視する市民団体は、法案が簡単に成立すれば、自民、公明両党が着手した「防衛装備移転三原則」の見直しが加速し、殺傷能力をもつ武器の輸出に拡大するのではないかと警戒している。

「立憲民主党はどうして軍需産業強化法案に賛成するのか。改めてほしい」

 4月27日午後、東京の衆議院第二議員会館前で市民団体のメンバーが横断幕を掲げて訴えた。

 2法案は「防衛財源確保法案」(注1)と防衛産業を国が支援する「防衛生産基盤強化法案」(注2)。立憲は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保持など政権の安保政策を批判してきたが、防衛力強化自体に賛成する議員も多く、基盤強化法案については4月20日、早々と賛成を決めた。「質の高い防衛力の整備は着実に行なわなければならない。防衛産業の衰退が顕著になっているため、基盤強化に異論はない」(衆院安全保障委員会の篠原豪筆頭理事)との立場だ。

 その法案採決が27日夕に行なわれる見通しになり、市民団体と法案に反対する野党は、立憲の「再考」を求め最後のアピールに臨んだ。防衛産業の従業員に守秘義務を課し、刑事罰を設けている点も批判した。しかし、流れは変わらず、共産党を除く各党の賛成多数で可決された。連休明けには、参院に法案が送られる。

 もう一つの「財源確保法案」の衆院審議が始まった4月18日、参議院議員会館内で市民集会「大軍拡2法案を廃案に」(「STOP大軍拡アクション」主催)が行なわれた。海渡雄一弁護士が「2012年の第2次安倍政権発足以降、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などが無秩序にできたのではなく、目的を持って作られてきた。監視社会を強化し、軍需産業にお金をじゃぶじゃぶつぎ込む路線が進んでいる」と解説。れいわ新選組、共産党、社民党の国会議員があいさつし、「財源確保法案は、国立病院のお金まで巻き上げて戦争をできる国造りをするものだ」(田村貴昭・共産党衆院議員)などとして、政府を追及する姿勢を強調した。立憲も、財源確保法案は「税外収入ももとは赤字国債だ。それを繰り入れるのは『財源ロンダリング』で『隠れ赤字国債』ではないか」(重徳和彦衆院議員)と批判している。

(注1)岸田政権が昨年末に決めた今後5年間の防衛費約43兆円は、新たな財源として14・6兆円が必要。法案はこのうち4・6兆~5兆円強をまかなう「防衛力強化資金」を新設する。原資は「税外収入」といわれる特別会計からの繰り入れや国有財産売却など。

(注2)防衛産業を支援するのが目的。①自衛隊の任務に「不可欠な装備品等」を製造する企業に対し、原材料や部品の供給網を整備する経費を国が援助、②事業の継続が難しくなった場合、国が製造施設を国有化、③装備品(武器)の輸出にかかわる経費も助成。さらに、国が提供した秘密を従業員らが漏らした場合、「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」を科す。

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