大阪カジノ整備計画を国が認定 「なお疑惑未解明」と市民ら抗議
平野次郎・フリーライター|2023年5月15日10:23AM
政府は4月14日、大阪府が大阪市の人工島・夢洲への誘致を目指すカジノを中心とする統合型リゾート(IR)の整備計画を認定した。国土交通省観光庁の審査委員会がIRの規模の大きさや経済波及効果などを高く評価した審査結果を踏まえた。これに対し、カジノ誘致に反対する市民団体は「事業者への優遇疑惑などが未解明」として抗議行動を続けている。
整備計画によると、IRの初期投資は1兆800億円に上り、2029年秋から冬の開業をめざす。年間の来訪者を約2000万人(うち日本人7割)として売り上げを5200億円(うちカジノ8割)と算定、経済波及効果を1兆1400億円と見込む。
審査は整備計画について25項目の評価基準を設けて項目ごとに採点した結果、計1000点満点で657・9点となり、認定条件の600点をわずかに上回った。
評価基準の項目の中で最高点だったのは「施設の規模」。IRの延べ床面積などが先行地域のシンガポールIRなどと同規模以上であり、日本を代表する観光施設にふさわしいスケールを有すると評価。「地域経済への効果」の項目でも、初期投資がシンガポールIRを超える規模の大きさから経済波及効果や雇用創出効果など地域経済への相応の効果が見込まれるとして高得点を付けた。
評価が辛うじて合格点だったのは「コンセプト」の項目。国際競争力にふさわしい日本や大阪の魅力が発現されていると受け止めるのは難しく、「高い国際競争力・独自性を有する」とは評価せず。さらに低得点だった「観光への効果」の項目では、来訪者予測の計算過程に細部設定や根拠の不明瞭さが一部見られ、算出数値の水準について一般的に納得されるには至らないものもあると厳しい評価。
懸念されている項目の「防災・減災対策」では、地盤沈下に対して基礎杭による建物の沈下の低減という対策はある程度評価できるとしつつ、想定外の事態に対応するリスク管理意識については高評価は難しいとした。「依存症対策等」では、さまざまな対策が検討されている点は評価できるが、実効性のある早期発見などの取り組みの記載があまり見られないと指摘しつつも合格点を与えている。