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徴用工問題 韓国政府解決策では新たな法的争点が加わり、長い目でみれば日韓関係を悪化させる
山本 晴太|2023年5月18日7:00AM
「韓国政府の『白旗投降』」と非難
裁判をすることができなかった大多数の被害者も救済するための財団構想は、以前にも提案されたことがある。しかし今回の解決案はそれとはまったく異なる。これは決して「不十分な被害者救済案」などではない。日本政府の理不尽な要求に屈して非常識な加害企業を救済し、大法院判決を無効化しようとするものにすぎない。
韓国の民主社会のための弁護士の会(民弁)は「韓国政府の『白旗投降』」と非難した。大韓弁護士協会人権委員会の崔鳳泰(チェ・ボンテ)弁護士は「被害者救済策ではなく日韓米の軍事作戦」と述べた。被害者の人権回復の要求を日韓米の戦車が並んで進む道の障害物とみて、これを押しつぶそうとしているという意味だ。そして4月3日、韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相は正直にも「最も大きな石ころを片付けた」と発言した。
一方、『朝日新聞』3月7日付社説は解決案を歓迎し、日本の加害企業に財団への寄付を促している。しかし、加害企業が確定した判決を履行せず、代わりに財団に寄付するとすれば、それは韓国司法に対する徹底した無視の表明でしかない。
遺族として訴訟を引き継いだ原告のなかには早期の弁済を望んで財団の給付を受け容れようとする人もいるが、半生をかけて日韓の裁判所で争ってきた生存原告3人はそろって解決案に反対している。
彼らが求めているのは加害者による謝罪と賠償であって、生活支援ではない。加害者ではない韓国政府や韓国企業からの給付で解決できるはずがない。韓国の世論調査では国民の約60%が解決案に反対しており、求償権を行使しないことを前提にすればこの比率はさらに高まると言われている。
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