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プレカリアートユニオンと警備会社大手の裁判 双方に賠償命令

岩本太郎・編集部|2023年5月23日7:00AM

判決翌日の記者会見で発言するプレカリアートユニオンの清水直子執行委員長(左端)と稲葉一良書記長(その隣)。(撮影/岩本太郎)

 契約社員やパートタイムなどの非正規雇用労働者も個人で加盟できる労組、プレカリアートユニオン(東京都新宿区、清水直子執行委員長、以下、PU)と、警備会社のテイケイ(同、影山嘉昭社長)の間で争われた裁判の判決が4月19日にあった。東京地裁(前澤達朗裁判長)はPUがテイケイに約110万円、テイケイがPUに約168万円を賠償するよう命じた。

 この裁判と背景で進行中の事案はここまで複雑な経緯をたどっている。最初はテイケイによる賃金未払い問題などについての相談を同社勤務の警備員から受けたPUが団体交渉を申し入れ、組合員となった警備員にテイケイが退職を強要(後に退職)。そこで組合員側からの地位確認訴訟が始まり、2022年には東京地裁で組合員が勝訴した(現在高裁で審議中)。

 しかしテイケイはさらに反撃。今回の判決によれば、問題解決を求めてPUが行なった街頭宣伝が同社への威力業務妨害にあたるとして20年にPUを提訴したほか、PU事務所や街頭宣伝に参加した組合員の自宅などに対して、相手を無断撮影した写真に職業差別や罵詈雑言を含む文言を添えた文書を計1000通近く配布。また、街宣参加者や通行人の目にとまるよう本社玄関前に掲示するなどの手段に打って出た。それらはPUもサイトで公開しているが、相手を「反社へ資金提供」「鉄砲玉」「恐喝ゴロツキ集団」などと罵ったり、文書を送付する社用封筒には代表者の押印もされていたりするというから尋常ではない。

 PU側もこれらを労働運動への権利侵害と名誉毀損であるとして21年に反訴。事態は一般的な労使紛争のレベルを超え、企業と労組が互いに司法の場で訴え合う構図にまでエスカレートした。判決が双方に賠償金支払いを命じる形になったのはそのためだ。

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