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プレカリアートユニオンと警備会社大手の裁判 双方に賠償命令
岩本太郎・編集部|2023年5月23日7:00AM
テイケイは旧「帝国警備保障」 警備業界の最大手企業の一つ
ただ、判決で東京地裁はPU側が具体的事例を挙げて主張した、テイケイによる前記文書配布行為などの違法性は全面的に認定している。判決翌日の4月20日、東京・霞が関の厚生労働省で開かれた被告(反訴原告)側の記者会見で、PU側はその点は評価しつつも、控訴のうえ高裁で争う姿勢を表明した。代理人の佐々木亮弁護士はテイケイからの賠償額が約168万円となったことについて、違法だと認められた文書1件あたりの賠償金額を「裁判所がだいぶ安く見たようだ」と不服を表明。
他方でテイケイ側からの請求が認められたことについて、佐々木弁護士は「違法性阻却がされるか否かの判断が、他の事件に比べてかなり荒っぽいのでは」と批判。PUがテイケイ本社前で行なった街頭宣伝活動に関するテイケイ側の主張のうち、音量が「暴騒音」に該当するから違法とした部分については棄却されたものの、街宣活動中に組合員により発せられた文言の一部に、その根拠に関して真実相当性が認められず違法性が阻却されなかったものがあった。同じく代理人の鈴木悠太弁護士は、「組合活動で会社と交渉する中で、多少行き過ぎの発言が出ることはありうるが、一般的な法理だけではなく、労組としての正当な行為の範囲内ならば真実相当性が多少認められなくても違法性が阻却されるのがこれまでの法理だった」と疑問を述べ、控訴審ではその点も争いたいとした。
テイケイ、旧「帝国警備保障」は1978年に設立。警備業界最大手企業の一つで、実はこの記者会見が開かれた厚労省庁舎の警備も担当している。「そうした企業がこのような行為をしたことが、社会にどれだけ深刻な影響を与えるかを危惧しています」と、PUの稲葉一良書記長は語った。清水執行委員長も「住所非公表の組合員宅に、しかも郵便ではなく誰かが直接投函しに来ています」と事態の異様性を強調した。
テイケイ側は本誌の取材に対し「特にコメントはなし」としつつ、5月8日付で控訴した旨を回答。なお前述の文書送付等は昨年8月に東京都労働委員会でも不当労働行為と認定され、テイケイ側が取り消しを求めた訴訟が進行中だ。
(『週刊金曜日』2023年5月19日号)
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