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「旧姓使用」で問題多発 国際機関で働く女性たちの訴え 

金本裕司・ジャーナリスト|2023年5月28日7:00AM

旧姓併記の旅券イメージ(外務省HPより)。国際民間航空機関文書には規定されていない例外的な措置のため電子情報には記録されず「査証及び航空券を右呼称で取得することは困難」との説明がある。

 選択的夫婦別姓制度導入に反対する自民党議員の一部は、婚姻改姓に伴うさまざまな弊害を「旧姓使用の拡大」で乗り切ろうとしている。しかし、正式な本人確認手段となるのは戸籍名で、法的根拠のない「旧姓使用」は根本的解決にはならない。特に、世界的には日本独自の「旧姓使用」は理解されず、海外で仕事をするうえでのトラブルやキャリア断絶を招く元凶となっている。その事例について超党派の国会議員が当事者に学ぶオンライン勉強会(主催:選択的夫婦別姓・全国陳情アクション)が5月14日に行なわれ、国際機関などで働く女性らの声を聞いた。 

 陳情アクションの井田奈穂事務局長は、「海外に赴任したり国際業務をしたりする場合、国際規格では法的氏名を使用する。パスポートに旧姓が併記されていても電子記録には旧姓は使われていないため、国際会議等では通用しない。国際機関で働く女性が途中で改姓すると、それまでのキャリアが実績として検索されなくなり、多大な不利益を被っている」と解説。当事者たちが訴えた事例は以下の通り。

 ①小谷瑠以さん(スイス・ジュネーブの世界気象機関で勤務)

 世界気象機関の職員IDとメールアドレスは出生姓、日本のパスポートは戸籍・出生姓併記、国連パスポートやスイスの運転免許証は戸籍姓など4種類の記載を強いられている。海外出張にも支障があるとして「邦人国連職員の女性比率は高まっている。女性活躍に支障があり、速やかに選択的夫婦別姓の導入を」と訴えた。

 ②池田有紀美さん(米国・ニューヨークの国連軍縮部勤務)

 日本では旧姓を使用し、論文発表も旧姓。国連に入る際、旧姓の身分証を希望したが、法的氏名しか認められず戸籍名になった。そのため「検索しても旧姓時の実績

が認知されない。選択的夫婦別姓は家族制度だけの問題ではなく、女性活躍を本気で推進するために達成しないといけない現実的な政策だ」と話した。

 ③佐藤彩さん=仮名(東京・霞が関の官庁で国際交渉を担当)

 国際会議のため、年数回公務出張。仕事上は旧姓を使用しており、公用旅券が戸籍名だけだと、海外での滞在や業務に不都合が生じる。外務大臣宛てに旧姓併記旅券を依頼したが認められなかった。また、国際会議ではメールアドレスが旧姓だと戸籍名での登録情報に疑義ありとされてしまったとし、「不都合なく国際業務ができる環境を願っている」と述べた。

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