「旧姓使用」で問題多発 国際機関で働く女性たちの訴え
金本裕司・ジャーナリスト|2023年5月28日7:00AM
名前のために離婚も検討
④山中菜奈穂さん(米国・ニューヨークの国連本部勤務)
国連で政務官を務め、結婚改姓後もパスポートの名義を変更せず旧姓を通している。しかし2カ月後にパスポート更新期限が迫る。国連ではパスポートの登録姓を用いる必要があるため「旧姓をあきらめるか、キャリアを優先して離婚をするか。決断を迫られている」という。
国際機関で働く女性が共通して訴えたのは「ポストは1席に数十人が殺到し競争が激しい。実績をアピールしなければならないのに改姓で実績が認められなくなり不利」ということだった。
小池晃参院議員(共産党)は「離婚も検討せざるを得ないという話を海外ですると、周囲はどのような反応か」と質問。山中さんは「同僚や人事に相談したら、先進国でまだそんな国があるのかと驚かれる」と答えた。
西村智奈美衆院議員(立憲民主党)は「日本は国際社会とかけ離れている。やっていることと言っていることが違う(自公)政権にいら立ちを覚える」としたうえで、「公用旅券に旧姓を認めるかどうか、外務大臣の裁量はどの程度あるのか」と質問。佐藤さんは「旧姓併記を認められた人もいる。国際会議出席の実績が影響しているのではと思うが、正式な回答を得ているわけではない」と答えた。
経団連から参加したダイバーシティ担当の大山みこさんは「一昨年、経団連の会員企業アンケートをした。旧姓使用は進んでいるがやはり一社ではどうしようもない、法律で社会的制度として手当てしてほしいという意見が多かった。選択的夫婦別姓制度であり全員が別姓になるわけではない。選択肢のある社会を、スピード感を持って作ってほしい」と要望した。
(『週刊金曜日』2023年5月26日号)