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維新の梅村議員「ウィシュマさんは詐病」発言 遺族と弁護士が謝罪・撤回を要求
岩本太郎・編集部|2023年5月30日7:00AM
「インターネット上のデマと変わらない」
そもそも詐病説については入管庁がウィシュマさんの死に関して21年8月に公表した調査報告には「事実」はもとより「可能性」を指摘した記載もない。
ウィシュマさんへの支援活動にあたってきた「START~外国人労働者・難民と共に歩む会~」も、16日付で梅村氏に送った抗議文で「病気になれば仮放免される」という趣旨の発言をしたことはないと否定。死亡2日前に診察した精神科医師が入管に出した報告書で「詐病の可能性もある」としたのは入管側が主観で捉えて伝えた誤情報を鵜呑みにした結果だと述べている。ハンストについても昨年3月の参院法務委で入管側が「事実は把握していない」と明言している。
「インターネット上のデマと変わらない」(髙橋さん)「詐病で人は死にません」(駒井さん)と代理人弁護士が怒りを通り越して呆れたかのように語るのも無理のないところだが、その発言についての質問状への回答を書面や記者会見などではなく国会の場で行なったというのも奇妙なやり方だ。
髙橋さんは「推測の域を出ませんが、憲法51条に基づく免責特権(国会議員は議院内での演説や討論、表決について院外で責任を問われないとする制度)を意識されたのでは」と語る(ただしこの免責特権にも、虚偽であることを知りながら発言した場合はその限りではないとも解釈できる1997年の最高裁判例が存在する)。
だとすれば、そうまでして根拠となる事実もない言説を梅村議員がわざわざ開陳した狙いは何か。指宿さんは前回の入管法“改悪”案が2年前、このウィシュマさんの死亡事件をめぐり高まった世間からの批判の中で廃案へと追い込まれた経緯を指摘する。
「あの事件の真相解明と入管への責任追及がなければ、本来法案審議にも入れなかった。つまり、ウィシュマさんは勝手に死んだから入管にも責任がない、だから早く法案審議を進めて成立させよう、ということではないか」。
指宿さんは梅村議員の秘書との電話での話し合いの中で、同議員が「裁判をやる気があるのか」と気にしていると伝えられたことも明らかにした。弁護団は現時点では訴訟は考えていないとするが、後の検討対象であることは会見で示唆した。なお、日本維新の会の藤田文武幹事長は18日、梅村議員の前記発言を「極めて不適切」だとして謝罪。同議員を参院法務委員会の委員から外すと発表した。
(『週刊金曜日』2023年5月26日号)