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ミャンマー取材で殺害された長井健司さんのカメラ16年ぶり返還 そこに映っていたものは

明石昇二郎・ルポライター|2023年5月31日7:00AM

5月12日、記者会見で長井さんの「最期のレポート」について映像をもとに解説する山路徹・APF通信社代表。(撮影/明石昇二郎)

 2007年9月、ミャンマー(ビルマ)の最大都市ヤンゴンで民主化デモの取材中、軍に銃撃されて亡くなった日本人ジャーナリストの長井健司さん(享年50)。その長井さんが撃たれてもなお手放さなかったビデオカメラとテープが、事件からおよそ16年が経過した先月、返還された。

 カメラ返還の第一報は、4月26日放送のテレビ朝日「報道ステーション」だった。長井さんの遺族に番組スタッフが同行し、ミャンマーの隣国・タイのバンコクで同日、ミャンマー人ジャーナリストから遺族に返還されたという。

 これを受けて5月12日、長井さんが所属していたAPF通信社の代表でジャーナリストの山路徹さん(61歳)が東京都内での記者会見に臨んだ。会見は日本ジャーナリスト協会が主催し、長井さんが撮影した〝最期〟の映像が同協会の公式サイトで公開された。ダウンロードも可能だ。(https://j-aj.jp/info/8985/)

 会見で山路代表は、返還されたビデオカメラとテープを検証した結果、会社で把握しているカメラの製造番号と一致したため、カメラは「長井さんのものと裏付けられた」とした。だがテープには、長井さんが銃撃された直後の映像が含まれておらず、撮影されていたはずの〝銃撃犯人〟の顔や姿の映像は残っていなかった。そこには、長井さんが撮影したものとはまったく別の映像が〝上書き〟されていたのである。

 山路代表も会見で「編集された可能性が高い」「誰かが上から映像を潰したことは、まず間違いないだろう」と指摘。加えて、カメラの部品の一部がなくなっており「使い込まれたあとがある」と説明した。

「『報道ステーション』の報道によって(長井さん殺人事件は)もう解決したのではないかという誤った印象が世の中に伝わったのではないかと、非常に懸念を持っている。そもそもミャンマー政府は、流れ弾が長井さんに当たったという主張を今も貫いている。日本の警視庁が新たに捜査を再開することにもなっている。まだ事件は終わっていないんです」(山路代表)

 そして、この日の会見もまた、これだけでは終わらなかった。

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