連載 ”日の丸ヤミ金”奨学金 第16回
「トンデモ判決」の内幕とは?
三宅勝久・ジャーナリスト|2023年5月31日5:11PM
一審では支援機構敗訴?
はたして、函館地裁(布施雄士裁判長)はこう判断した。
〈育英会法の目的が、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難がある者に対し、学資の貸与等を行うことにより、国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに、教育の機会均等等に寄与することであることを考慮すると育英会法施行令6条3項の「学資金の貸与を受けた者」とは(中略)奨学金の貸与を受けた者(主たる債務者)に限られ、連帯保証人は含まれないと解するのが相当である〉
〈同項(育英会法施行令6条3項=筆者注)〉の「支払能力がある」か否かも主たる債務者について判断すべきところ、主たる債務者であるBが支払能力を有することの主張立証はないから、本件一括請求は同項の要件を満たさず無効である〉
〈これに対し、原告(支援機構)は、育英会法施行令6条3項の「支払能力がある」は一括請求当時支払能力の有無が原告に明らかでないことを含むと解すべき旨を主張するが、同項の文理上、かかる解釈は無理があり、採用の限りでない〉
施行令の一括請求条項は連帯保証人に対しては適用されない。主債務者の支払能力を調査せずに一括請求したのは施行令の要件を満たさない。よって男性に対する一括請求は無効であると明確に判示している。この争点については支援機構の完全敗訴だ。
(『週刊金曜日』2023年1月27日号)