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「金と引き換えに産ませるのか」
自民党「出産したら奨学金返済免除」案を学生らが批判

竪場勝司・ライター|2023年6月3日7:00AM

「Change.org」で実施中のオンライン署名。(提供/首都圏学生ユニオン)https://chng.it/ZqkN7wbRps

「異次元の少子化対策」として、学生時代に奨学金の貸与を受けた人が出産した場合、奨学金の返済を減免する案が自民党内で浮上。報道されるやSNS上で「子どもを産めるか産めないかで人を選別している」「金と引き換えに産ませるのか」などの批判が相次いだ。学生・若者のための労働組合「首都圏学生ユニオン」はこの案に反対するオンライン署名を開始し、5月下旬までに約2万8000筆を超える署名が集まっている。

 案を検討していたのは自民党の「教育・人材力強化調査会」。3月2日に「子育て世代の教育費負担の軽減策」として案が示され、中旬の同党「『こども・若者』輝く未来実現会議」に提言する予定だった。しかしSNS上の批判が高まったことなどから「出産」の文言は提言には盛り込まれなかった。

 一方、自民党少子化対策特別委員長の衛藤晟一参議院議員は3月13日、少子化対策を議論する党の会合で、結婚や出産を条件に奨学金の返済を免除する私案を示した。「地方に帰って結婚したら奨学金の3分の1、1人出産したら3分の1、2人目が生まれたらもう3分の1」の返済を免除するという内容だった。

 こうした自民党内の少子化対策案の議論の状況を知った、首都圏学生ユニオンのメンバーの大学生たちからは「女性を産む機械だと思うな」(22歳女性)、「今の生活が苦しければ奨学金減免だけでは子どもは産めない。どこが異次元?」(24歳男性)、「さも等価交換かのような雰囲気で『子どもを産む負担を負わせる代わりに減額してあげるよ』って言われているのと同じなのがきつい…」(23歳女性)、「子どもを産まない・産めない人は対象にならないのは、国民の中で分断を生むと思う」(23歳女性)といった声が次々に上がった。

「これはおかしい」と思う人のプラットフォームを立ち上げようと、オンライン署名に取り組むことになり、ユニオンのメンバーの冨永華衣さん(24歳)を中心に準備を進め、4月3日に公開した。「#権利を条件付きにするな」で、4月8日にはツイッターデモを実施。インフルエンサーや議員にも拡散され、署名は順調に増えていった。署名のコメント欄には「少子化対策や中国のような多子化対策で、子どもを産める体のある人に圧力をかけるという政策自体が人権侵害だ。国際基準的にもそう位置づけられている」と書いている人もいた。

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