候補者男女均等法の施行から5年 見えてきた成果と課題とは
宮本有紀・編集部|2023年6月12日7:00AM
ハラスメント対策が急務
20代30代の女性議員を増やす活動をしているFIFTYS PROJECTは、統一地方選で29人の候補者を出し24人が当選。代表の能條桃子さんは「いろいろな地域で女性議員が誕生したことを嬉しく思うし、求められているからもっと出れば当選するのではという期待が持てた」と評価した。
ただし、政党の努力について課題があるとして「党本部はやる気があって地方議会に女性候補を送り込むが、地元の支援者や議員のジェンダー平等に対する理解が遅れているために公認が取れず推薦になった人もいる」と指摘。また、「党職員と一緒に車に乗っていて『僕のことはパパと呼んでいいよ』と言われたとか、女性という理由で候補が嫌な思いをたくさんしている」と話したときには、ひどさに会場がざわついた。
三浦まり氏は「均等法で決めた義務の中でも重要なのがハラスメント対策。内閣府がつくった研修用動画を授業で使い、実話に基づいていると言ったら学生たちが驚いて、時代錯誤という反応が多数あった。これでは議員になりたいと思うはずがない、早く変えてほしいという切実な若者の声が聞こえた。党は努力義務になっているが議会は責務だ」と指摘した。
吉良よし子議員(共産)も「国会でも女性だから、野党だからと嘲笑されるような対応をされることがある」と共感を表明。「そういう不平等な議会を変えていくためにもクオータ制を進めていくことが大事だ」と話した。
議連の高木かおり事務局長(日本維新の会)は、「女性の数はまだ十分ではない。前進に何が必要か議連で話し合い、スピード感を持って進めたい」と発言。福島みずほ議員(社民)は「なぜ女性が意思決定の場にいなければならないかというと社会の優先順位を変えるから。新自由主義や格差拡大を広げるという男社会を強化するのではなく、それを変えていきたい」と抱負を述べた。
(『週刊金曜日』2023年6月9日号)