「右手に釣り竿、左手に憲法」という団体も 「九条の会」全国集会の多彩な顔ぶれ
竪場勝司・ライター|2023年6月13日7:00AM
課題は会員の高齢化
続いて参加者がリレートークの形で各地の「九条の会」の活動の現状や悩み、今後の展望などについて次々と披露。全体で23人から発言があった。
「全国首長九条の会」の平尾道雄・滋賀県米原市長は、非核・平和を祈念するモニュメント「平和の礎」を建立する取り組みを紹介。
「忠魂碑は日本遺族会を中心に、これを存続する形が続いてきた。だが日本遺族会のみなさんは80歳を超え、とても忠魂碑を維持できる状況にはない」と背景について述べた後、米原市がこの問題を市の非核・平和市民会議で2年間にわたって議論の末、22年3月に答申を出すに至った経緯を報告。「老朽化した忠魂碑は税金で撤去していくが、その代わりに戦没者の名前を引き継いでいく。また、戦争の犠牲者や軍人や軍属だけでなく、一般の市民の戦争犠牲者の名前を刻む運動を始めようということになった。遺族会のみなさんに『なぜ遺族会運動を続けてきたのか』と問うと『私たちは戦争をしてはならない、二度と遺族会を作ってはならないとの思いで運動をしてきた』と答えが返ってきた」と説明した。
そうした姿勢の下に米原市では現在、沖縄・糸満市にある「平和の礎」と同様の形のモニュメントの建設が進んでおり、全国から犠牲者の刻銘を希望する人を募集中。モニュメントは今年9月頃には完成の予定で、刻銘版の隣に建立の記念碑を作ったうえで、そこに「私たちは日本の平和憲法を守ります」との文章を刻むことにしている。
リレートークでは他に「右手に釣り竿、左手に憲法。平和がなければ釣りができない」とのスローガンの下で08年から楽しみながら憲法を語る活動をしているという埼玉県の「渓流9条の会」など、ユニークな活動の紹介もあった。他方で、会員の高齢化に伴う会員の減少や活動の不活発化に触れる会も目立ち、共通の悩みが浮き彫りになっていた。
(『週刊金曜日』2023年6月9日号)