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生活保護費引き下げ取り消し訴訟で原告側が2地裁で連勝
三宅勝久・ジャーナリスト|2023年6月14日7:00AM
地裁判決の数だけをみれば「勝ち越した」形
弁護団によれば、裁判は全国29地裁に提起され、現時点で一審判決が出ている事件は21件(高裁判決は前記大阪高裁の1件)。地裁判決のうち原告勝訴は11件、敗訴が10件で、地裁判決の数だけをみれば「勝ち越した」形となった。高裁管内別に見ると東京高裁管内は東京・さいたま・横浜・静岡・千葉のすべての地裁で原告が勝訴。大阪高裁管内は大阪(高裁で逆転敗訴)・和歌山・奈良が原告勝訴、大津・神戸・京都が同敗訴と半々に分かれる。福岡高裁管内も熊本と宮崎が原告勝訴、佐賀と福岡が同敗訴と拮抗している。
「勝ち越し」を受けて、原告団は5月31日に厚労省を訪問し、社会・援護局保護課(川又竹男局長、池上直樹課長)に対して①被告自治体に控訴をしないよう指導せよ、②違法に引き下げた生活保護基準を元に戻せ、③真摯な謝罪をせよ――との要請を行なった。
対応した安西慶高・同課長補佐は「係争中なので判決に対するコメントは控える。裁判所によって判断がまちまちであり、裁判を見守る」と決まり文句を繰り返しただけだった。原告の小野川泰さん(63歳)は「何らかの解決策を考えているのかと期待していた。冷たい行政だと感じます」と語った。
「いのちのとりで裁判」の今後の主な日程としては、7月14日午後2時に名古屋高裁(結審)、同24日午後2時に鹿児島地裁(同)、10月2日午後1時10分に広島地裁(判決)がそれぞれ予定されている。
(『週刊金曜日』2023年6月9日号)
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