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国連の勧告めぐり在日コリアンの人権を考える
平野次郎・フリーライター|2023年6月15日7:00AM
国連の自由権規約委員会が昨年11月に日本政府の人権政策についての勧告を盛り込んだ総括所見を公表したのを受け、委員会に政府の規約違反を訴えてきたNGOなど9団体が5月27日、大阪市内で「在日コリアン人権フォーラム2023」を開いた。
勧告では、在日コリアンの人権について総括所見42項で、植民地時代から日本に居住して国民的あるいは民族的マイノリティとして認識されるべき在日コリアンとその子孫が、社会保障制度や政治的権利の行使から排除される結果をもたらしている差別的な政策の運用を懸念するとしている。
13項では、ヘイトクライムについての独立した定義と禁止規定を導入し、ヘイトスピーチの行為を明確に犯罪化するための刑法改正を検討するよう要請している。
開会あいさつで、在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんは「在日コリアンが3世、4世の代になっても差別にさらされているのが問題だ。国内の在日外国人が300万人を超える移民社会を迎えるなかで、これまで在日コリアンが経験し闘い取ってきたものを活かしていくことが必要だ」と指摘した。
フォーラムの第1部では、各団体の代表が「民族的マイノリティの教育権(民族学級)の否認」「朝鮮学校の制度的・社会的排除」「公務就任権(地方公務員・公立学校教員)の否認」「高齢者・障害者の年金制度からの排除」「ヘイトスピーチ・ヘイトクライム」「地方参政権からの排除」のテーマでそれぞれ現状と課題を報告した。
第2部は、これらの報告を受けて5人のパネリストが討論。外国人人権法連絡会共同代表の丹羽雅雄弁護士が「植民地支配と戦後も継続する植民地主義政策による歴史的・構造的民族差別に向き合い、多民族・多文化共生社会に向けて外国人・民族的マイノリティの人権法制度を確立する必要がある」と締めくくった。
(『週刊金曜日』2023年6月9日号)