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トランスジェンダー当事者の弁護士に殺害予告15件
石橋学・『神奈川新聞』記者|2023年6月17日7:00AM
トランスジェンダーであると公表し、性的マイノリティの人権問題に取り組む仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会所属)に殺害予告が届いた。 LGBT理解増進法案をめぐりトランスジェンダーを犯罪者であるかのようにねじ曲げるヘイトスピーチがインターネット上で横行するが、表現による攻撃が具体的な犯罪「ヘイトクライム」にエスカレートした格好だ。
仲岡弁護士は6月5日、大阪府警に被害届を提出。大阪弁護士会は6日、「弁護士のみならず、社会における全てのトランスジェンダー当事者の人々の存在そのものを否定するヘイトクライムにほかならず、断じて許すことはできない」との旨の会長声明を出し、卑劣な差別犯罪への危機感を表明した。
脅迫メッセージは3日から5日にかけ、所属する法律事務所の公式サイトの問い合わせフォームに15件書き込まれていた。「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎をメッタ刺しにして殺害する」と差別語を交えたものや、性器を切り裂く、鼻をそぎ落とすといった猟奇的な内容も含まれている。
仲岡弁護士は戸籍上は男性で、弁護士登録は女性として行なっている。LGBTの権利擁護や性暴力被害者の支援などに尽力してきた。弁護士仲間や支援者らと会見した仲岡弁護士は「トランスジェンダーというマイノリティ属性を狙って攻撃を仕掛けるヘイトクライムだ」と非難。「マイノリティの人権問題を扱う弁護士全体への挑戦でもある。私が揺らぐことはない」と強調した。
ヘイトクライムは属性を理由にした攻撃であるがゆえ、同じ属性の人々にも「自分も同じ目に遭うのではないか」という恐怖を与える。
仲岡弁護士は「脅迫は私の背後にいるトランスジェンダー、LGBTの当事者にも刺さっている。私個人への脅しだけなら会見は開かなかった」と被害の深刻さを指摘。「捜査機関にはいたずらや冗談といった軽い受け止めをしてほしくない。特定の層に対する攻撃ということを踏まえ、捜査を尽くしてほしい」と訴えた。