「組織は加害者の味方をした」 空自の女性自衛官がセクハラ被害で国賠訴訟
竪場勝司・ライター|2023年6月18日7:00AM
「セクハラを隠蔽し、声を上げた被害者を罰するような自衛隊」
第1回口頭弁論では原告代理人の田渕大輔弁護士が訴状の内容を説明。ベテラン隊員による原告への度重なるセクハラ発言を注意する隊員は「1人もいなかった」などと、自衛隊内の職場の実態を指摘。同期入隊の隊員たちと比較して、女性自衛官にかなりの昇任遅れなどの被害が出ていることにも触れ、「原告の必死の思いをくみ取っていただきたい」と裁判官に訴えた。
同じく代理人の武井由起子弁護士は「何度も繰り返されるセクハラにより原告はフラッシュバックや不眠などに苦しんだ。『原告が黙らないことへの報復』のような嫌がらせが繰り返され『針のむしろ』のような状態に10年以上置かれ続けてきた。『自衛隊が普通に働ける職場になってほしい』との思いから、原告は今回の訴訟に踏み切った」などと述べた。
法廷で意見陳述した原告の女性自衛官は「私がここ(法廷)に立っていることは、組織の対応が最悪だったことを示している。組織は加害者の味方をした。今日に至るまで私は、加害者や加害者に味方してセクハラの隠蔽に加わった隊員たちから謝罪を受けていない。セクハラは加害者だけでなく、それを容認してしまう環境によって起こる。セクハラを隠蔽し、声を上げた被害者を罰するような自衛隊の対応を、決して容認してはいけません」と厳しい口調で自衛隊の体質を批判した。
次回の口頭弁論は10月2日に開かれる。
(『週刊金曜日』2023年6月16日号)