公論形成委員会設置を提言 「どうする?原発のごみ全国交流集会」を札幌で開催
稲垣美穂子・フリーランスライター|2023年6月19日7:00AM
現世代の責任めぐり討論
パネルディスカッション「我々の世代の責任とは/処分地選定加速化に抗して」で、寺本剛・中央大学教授は「放射性廃棄物を出した時点で、将来世代に対して私たちが完全な責任を取ることは残念ながらできない。よりマシなのは何かをきちんと時間をかけて考える仕組みや場を作ること。不確実性があるのに今“コレだ”と決めてしまうほうが無責任」と述べた。
岡村りら・専修大学教授は「ドイツには交付金というシステムがなく、最終処分場を作ることで生じる負の要素を補うための補償が地元に支払われる。ただし生命に影響を及ぼす要素やリスクがある場所は選定過程で排除し補償さえ要らない場所に作るべきで、それでも負が発生する場合に初めて補償金額が決まる」と紹介した。
司会の原子力資料情報室・伴英幸さんは、岸田内閣が通常国会に提出した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(5月31日に参議院で可決・成立)にも触れ、「原発回帰の動きと高レベル放射性廃棄物問題は密接に結びついている。前提となる『GX実現に向けた基本方針』で当該廃棄物の処理、処分についても官邸主導で加速していくと言うが、現行の特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律にはさまざまな問題がある」と述べた。
集会主催者の3団体は今後、提言を関連省庁に提出する予定だ。
(『週刊金曜日』2023年6月16日号)