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LGBT理解増進法という名前の「差別促進法」に

尾辻かな子・前衆議院議員|2023年6月24日7:00AM

 性的少数者(LGBTQなど)への理解増進法案「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」が6月9日、衆議院内閣委員会で修正され、自民・公明・日本維新の会・国民民主等の賛成多数で可決された。

 6月13日には衆院本会議で可決され、参議院では15日に委員会質疑、16日の本会議で成立した。衆参ともに本会議採決では自民から退席者も出るなど保守派が反発。一方、差別禁止の法整備を進めてきたLGBT法連合会は16日、差別する側を向いた逆向きの法律だと会見で批判した。

 議員立法は通常、超党派議連で調整されて超党派案となり、国会提案される。

 2021年に成立が目指されたLGBT理解増進法案では、与野党合意案が作られ各党で党内手続きを済ませる予定だった。LGBT差別解消法案を提出した野党側からすると、超党派LGBT理解増進法案も妥協に妥協を重ねたものだったが、自民党の党内手続きで棚上げとなり、宙に浮いてしまった。 

 今回は超党派議連で議論をまとめることもなく自民案が国会提出され、立憲民主・共産・社民が超党派案を提出し、維新・国民も法案を提出するという異例の三つ巴となった。

 膠着したままか自民案で成立かとの見通しの中、終盤国会で突然審議採決に向けて動き出す。自民が維新と修正案を協議し始めたのは、法案審議前日の6月8日。できあがった修正案は、審議当日の朝の委員会理事会で説明された。

 審議直前のため、修正案の中身を精査する時間もない。審議入り合意後、方向性が反転する議案修正は異例の事態だ。議員立法のため、審議時間も短く不十分なまま、当事者の思いに寄り添わない法律となった。

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