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LGBT理解増進法という名前の「差別促進法」に
尾辻かな子・前衆議院議員|2023年6月24日7:00AM
誰の安心のための法か
自民案の懸念は「Gender Identity」の訳語が「性同一性」になったことだった。
一般的な訳語である「性自認」を「性同一性」に言い換えることで意味を変質させている(「gender equality」を訳す時に「男女平等」とせず「男女共同参画」としたことと同様だ)。意味が同じだというなら、これまで使用してきた「性自認」を変える必要はない。G7広島サミットの首脳コミュニケ(声明)の訳も「性自認」が使われている。
性の多様性をきちんと捉えていれば、安易に「性自認」を「性同一性」と変えることなどできない。言葉一つに当事者の人生がかかっているのだ。
修正協議で自民がほぼ丸のみした維新・国民の案は、まったく評価に値しない。性自認、性同一性と割れていた用語は「ジェンダーアイデンティティ」とカタカナにしただけ。
特にひどいのは留意事項として「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう」とマジョリティへの配慮を入れたことだ。マイノリティの理解促進の法にマジョリティの安心を担保せよと明記するとは、いったい誰のための立法なのか。これでは「差別促進法」である。
そのうえ、最終案には、これまでなかった指針策定が入っている。これは自民が維新との修正過程で加えたものだ。この指針により国の計画、自治体の施策、教育現場を縛ることになり、自治体の施策の後退も憂慮される。今後はこの指針作成の内容をしっかりチェックする必要がある。
(『週刊金曜日』2023年6月23日号)
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