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元暴力団員が口座開設拒否の銀行を「不合理な差別」と提訴

平畑玄洋・編集部|2023年6月27日7:00AM

5年条項の対象外だが

 暴力団への規制は、暴力団対策法や各地の暴力団排除条例によって強化された。多くの暴排条例で暴力団を離脱しても5年間は組員とみなす規定が盛り込まれた。

 全国銀行協会も11年6月、事業者向けの融資や当座預金について、暴力団の離脱から5年未満の者も反社会的勢力とみなす暴排条項を参考例として示した。ただ、生活口座に使われる普通預金口座は対象外としている。

 みずほ銀行の排除規定では、普通預金でも「暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者」を「暴力団員等」に含めている。同行広報室は今回の訴訟について「係争中でありコメントは差し控える。事実関係や当行の主張は裁判で明らかにする」としている。

 警察庁は昨年2月、元暴力団員の社会復帰を促すため、全国の警察に元組員の給与振り込み口座の開設を支援するよう通達で求め、金融庁を通じて全国の金融機関にも周知した。だが、通達では「協賛企業に就労していること」を支援対象の判断基準にしている。協賛企業とは、暴力団離脱者を雇い入れる意思を示して都道府県暴力追放運動推進センターと連携する事業者のことだ。原告は県警の支援で就労し、雇用主も原告が元暴力団員だと理解して雇っているが、この協賛企業ではない。

 廣末さんは「協賛企業が東京や大阪などの大都市圏に少ないのも問題点だ」と指摘する。そのうえで「更生意欲がある人ならば、警察が継続就業証明書のようなお墨付きを発行すれば銀行側も判断しやすいのではないか」と提案する。

 弁護士の篠崎さんは「暴力団から離脱して5年以上経っても口座が開けないなら、社会全体に周知して銀行の対応を変えるしかない。提訴が、原告と同様まじめに働いているのに苦しんでいる人たちの手助けになれば」と話す。

(『週刊金曜日』2023年6月23日号)

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